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イヴリン嬢は七回殺される

表紙

スチュアート・タートン『イヴリン嬢は七回殺される』(文藝春秋)

■ タイムループと人格転移の合わせ技!
 今年発売された本格ミステリー小説で、個人的に最も読み応えがあった一冊。今年の複数のミステリーランキングで10位以内にランクインしている。ある理由でブラックヒース館にやって来た主人公の男が、タイムループを繰り返しながら、舞踏会の夜に発生する殺人事件の真相を暴くという内容だ。
 タイムループとミステリーを組み合わせた作品といえば、西澤保彦の『七回死んだ男』が名作として知られているが、『イヴリン嬢は七回殺される』はさらに人格転移というSF要素を付け加えている。本書で主人公が転移する人間は、総勢八名である。

 読む前は、まずAという人間で1日を過ごし、その日が終わると次にBという人間に乗り移ってまた同じ1日を過ごすというプロットだと思っていた。だが、本書の設定はもっと複雑である。1番目に乗り移った人間が眠るか意識を失うと、2番目の人間に乗り移って1日が始まる。2番目に乗り移った人間も眠るか意識を失うと、3番目の人間に乗り移るが、前の人間が目を覚ますと再びその人間に乗り移って1日の続きが再開される。眠ったまま午前0時を過ぎるか、死ぬ(殺される)とその人間にはもう転移しない。

 主人公が乗り移っている人間(視点)と過ごしている時間帯が目まぐるしく移り変わるため、「分かりにくい」と否定的な意見を持つ読者もいると思う。しかし私が読む前に予想していたプロットだと、最後の人間のときに最終的な解決をすることが初めから確定してしまう。それでは面白くないと考えたのであろう。私は作者の挑戦的な試みを支持したい。
 作者は本書を執筆するにあたり、登場人物一人一人の詳細なタイムスケジュール表を作成したようだ。プロットが破綻する一歩手前で踏みとどまった渾身の力作。頭が冴えているときに読むことをお勧めする。

 なお、複数のミステリーランキングで1位に輝いたアンソニー・ホロヴィッツの『メインテーマは殺人』(創元推理文庫)は、早い段階で犯人を特定できてしまったので、私自身の評価は佳作程度だった。

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