
・機種 | ゲームボーイ |
・メーカー | スクウェア |
・ジャンル | ロールプレイング |
・発売日 | 1989年12月15日 |
・価格 | 3,500円 |
■ ゲームボーイ初のRPG作品! スクウェアの人気RPG「サガシリーズ」の原点である『魔界塔士Sa・Ga』(GB)。スクウェアのゲームボーイ参入第一弾ソフトがこの作品でした。ゲームボーイ初期はパズル系のソフトが多かったのですが、いきなり完成度が高いRPGをぶち込んでくるあたり、スクウェアの実力がうかがえます。
同じ1989年12月に、ケムコも『セレクション』というRPGを発売していたんですけどね。ケムコとスクウェアではネームバリューに差があるのは致し方ない。
それにしても「魔界塔士」とは聞き慣れない言葉です。弁護士や公認会計士など日本には「士業」と呼ばれる職業が存在しますが、この「塔士」とは一体何なのでしょうか? 塔の価値を算定する不動産鑑定士のようなものでしょうか?
いいえ、それは違います。魔界塔士は、世界の中心にある塔の頂上を目指して登っていく冒険者のことです。塔の頂上にあるという「楽園」を目指して、危険を顧みずに塔の階段を一歩一歩駆け上がる命知らずの人々――それが魔界塔士であり、このゲームをプレイするあなた自身のことです。ちょっとかっこよすぎんよ~。
ゲームを始めると、まずは主人公の選択画面へ。「にんげん(男・女)」、「エスパー(男・女)」、「モンスター(4種類)」の合計8種類の中から、自分が好きなキャラクターを選びます。
にんげんを選んだ人は、堅実で用心深い性格。真面目なあなたは仲間からの信頼が厚く、リーダーに向いています。
エスパーを選んだ人は、陽気で社交的な性格。奇想天外なことが好きでみんなのムードメーカー。男なら“いとう”、女なら“まみ”という名前がオススメです。
おおハサミむしを選んだ人は、大胆不敵で恐れを知らない性格。仮面ライダーV3っぽい風貌はミステリアスな魅力を醸し出します。
レッドブルを選んだ人は、エナジードリンクをキメているジャンキー。モンスタードリンクを一気飲みするあなたは、いつもギンギンに冴えています。
ねずみおとこを選んだ人は、元東京都知事の舛添要一。蓄財に長けていて、将来お金持ちになる可能性があります。
ゾンビを選んだ人は、ひねくれ者の天邪鬼。ゲームの主人公に普通はゾンビを選んだりしないだろ! いい加減にしろ!
■ これも いきもののサガか… 『魔界塔士Sa・Ga』は4人パーティー制。1人旅はキツすぎるので、塔の入り口にある「ベーシックタウン」のギルドで仲間を作成しましょう。パーティー構成はプレイヤーの自由ですが、本作を最大限楽しみたいならば、にんげん、エスパー、モンスターの3種類すべてをパーティーに加えるといいでしょう。この3種族はそれぞれ成長の仕組みが異なります。
にんげんはショップで売っている「ちからのもと」「すばやさのもと」などの成長アイテムを購入して、それを使用することで強くなります。お金さえあれば一気に能力をアップすることが可能です。
エスパーは戦闘終了後に突然変異によってパラメーターが上昇し、また特殊能力を覚えます。ゲームボーイ版の『魔界塔士Sa・Ga』ではどんな能力を習得したか表示されないため、ときどきステータス画面を確認することが重要です。成長に納得がいかないときはリセットしてやり直すのも一つの手です。
モンスターは敵モンスターがドロップする肉を食べることで別のモンスターに変身します。相性やレベルによって変身するモンスターが決まり、ときには弱くなることもあるので注意が必要です。肉の食べ方によっては、序盤の段階で準最強クラスのモンスターに仕上げることも夢ではないです。
パーティーのメンバーを入れ替えたいときは、裏技的なテクニックが必要です。というのも、生きているメンバーはパーティーから外れることを拒否するのです。
しかし死んでしまえば拒否することはできません。まさに死人に口なし。このときは新しいメンバーと入れ替えることができます。過労死で訴えてくる遺族などいないため、雇い主はやりたい放題。超絶ブラック企業も真っ青な所業です。
このゲームは人の命を軽く扱っているよね、と考えたあなたは、鋭い感性の持ち主です。実はこの世界の住人たちは“ある者”の手のひらの上で踊らされているのです。ネタバレになるので詳しいことは書きませんが、ゲームの最後で塔の頂上にいる人物から衝撃の話を聞くことになります。
1989年の夏頃に、話題騒然の『テトリス』目当てにゲームボーイ本体を買い、当然の義務のように『スーパーマリオランド』を楽しみ、『ゴルフ』で打ち直しOKのインチキプレイに興じていた私が、次に手を伸ばしたソフト、それがこの『魔界塔士Sa・Ga』でした。
来年の2月に発売予定の『ドラゴンクエストIV』までの“つなぎ”という軽い気持ちで遊んでみると、これが思いの外ハマるRPGじゃないですか! インターネットの攻略サイトなどなかった時代、手探りでキャラクターを育てながらクリアしましたよ。名作は何年経っても名作のままですね。
