マーク・ブレイク、ジョン・チェイス『「スター・ウォーズ」を科学する』(化学同人)■ 素晴らしい、すべて間違っている。 批評家とSWファンの間で評価が真っ二つに割れている新作映画『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』。「衝撃のスター・ウォーズ」という宣伝文句に釣られてレイトショーを鑑賞してきたが、旧三部作のファンが不快になるのも当然だと思わせる雑な脚本・演出だった。
・レイとフィンを恋仲にするのを避けるために、急遽登場させたアジア人のローズ。
・フォース(?)を使って宇宙空間から宇宙船に帰還するレイア。
・セイウチのおっぱいから緑色のミルクを搾乳して飲むルーク。
・「お前の考えはお見通しだ!」と豪語した直後に、腹を斬られて死亡するスノーク。
・カイロ・レンに首を絞められて、すぐに手のひら返しをするハックス将軍。
・今までのSW戦争の概念をぶち壊す「ハイパードライブ」による特攻。
すべてがコントである。 カイロ・レンがレイと交信する際に、意味もなく上半身裸で現れたシーンで、「ああ、これは監督のライアン・ジョンソンがふざけているんだな」と確信した。コントの流れ的には、次はズボンを脱いで現れるかなと思ったが、さすがにそこまではやらなかったw
鷹の爪団VSデラックスファイターのような、バカ軍団VSアホ軍団の低レベルな戦いを見せられて、悲しまないSWファンがいるだろうか。昨年公開された『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、過去作のファンを満足させる手堅い作りだっただけに、『エピソード8』のお粗末さは不可解である。
次回作の『エピソード9』は、またJ・J・エイブラムスが監督を務めるそうだ。風呂敷を広げるのは得意だが畳むのは苦手というエイブラムスがこのシリーズをどのようにまとめるのか、非常に気になる。ぜひ2年後も映画館に足を運びたい。
今回紹介する本は、映画『スター・ウォーズ』の世界を科学的に考察した『「スター・ウォーズ」を科学する』。「デス・スターの建造費を試算する」、「ライトセーバーは本当に切れるか」など、SWファンの興味を引くトピックスが満載である。『空想科学読本』のノリに近いが、本書はそれよりも真面目で学術的な内容だと思う。
『スター・ウォーズ』シリーズは宇宙物理学を無視した描写が目立つSF作品である。もちろん『最後のジェダイ』でも首をかしげる描写が多かった。宇宙空間で爆弾を上から“投下”するって、どうなのよ?