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アーキテクチャの生態系

表紙

濱野智史『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』(NTT出版)

■ アーキテクチャ論に絡めた日本のネット文化事情
 ブログでYouTubeやニコニコ動画を利用している立場から、自然と手を伸ばした一冊。2000年以降のネット文化、特に2ちゃんねるやニコニコ動画における日本ネット文化の独自性を、「アーキテクチャ」という新しい概念から読み解こうとした意欲作である。新書以上専門書未満といった内容・文体で、インターネット文化論に疎い読者であっても楽に読了することができる。

 著者の濱野氏は1980年生まれの若い研究者である。参考文献を見ると、東浩紀氏や北田暁大氏のような若手の論客から知識を吸収したことが見て取れる。アメリカ人の学者ローレンス・レッシグが提案した概念「アーキテクチャ」も、東浩紀氏の著作物を通じて取得したようだ。

 アーキテクチャ=環境管理型権力とは、「規範」や「法律」といった旧来の規制方法とは違い、規制される側の考え方や価値観に関係なく、技術的又は物理的にその行為を封じ込めてしまう規制のことを指す。ただし筆者はアーキテクチャを一種の「権力」とする批判的な見方を避け、生態系のように発展したネットワークのインフラ基盤、あるいはネット社会分析のツールとして捉えている。

 このような観点から、まずは21世紀に急速に発展したグーグルを俎上にのせる。識者の予想に反してブログが勢力を伸ばした背景には、ブログが、グーグルの検索エンジンと相性が良いというアーキテクチャの特性を持っている点がある。
 その議論を踏まえ、グーグルとは直接関係のないところで進化してきた、2ちゃんねるやニコニコ動画といった日本独特のソーシャルウェアの仕組みを解析していく。簡単に言えば、これらは集団帰属意識や擬似同期体験を植え付けるところに特徴があり、それが支持される理由だと考えられるのだ。

 イナゴのように来襲し、付和雷同に囃し立て、自分が満足したら急速に冷めて去っていく、いわゆる「祭り」や「炎上」という状況がしばしばネットでは発生する。日本人の国民性というか、病理というか、野次馬根性は旺盛であるが、それでいて本格的な社会活動にはあまり発展しないネット住人の行動原理を、本書では詳細に分析している。
 みんな薄々感づいていることだが、こうまで冷静に指摘されると「おおっと」と膝を打つ場面も少なくなかった。周囲が騒いでいるのを見て、自分も騒いでいいんだと確認してから騒ぐ。日本人が日常生活でどれだけ抑圧されているのかと想像すると悲しくもある。

 後半では、「ミクシィ」、「ウィニー」、「セカンドライフ」、「初音ミク」、「ケータイ小説(『恋空』)」といった最近の重要キーワードをもれなくカバーしている。
 ネット文化を一方的に賛美するのでもなく、嫌悪するのでもなく、あくまで客観的に取り上げていこうとする筆者の姿勢には共感を受けた。

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