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キングを探せ

表紙

法月綸太郎『キングを探せ』 (講談社)

■ トランプのカードに法月も読者も騙される
 4人による交換殺人をモチーフにした本格推理小説。交換殺人は実例がほとんどないことからも分かるように、実際には極めて成立しにくい犯罪である。互いに知らない者同士が、互いのアリバイを作るために殺人を引き受けるなど狂気の沙汰である。
 2人でもまず失敗するというのに、4人で計画を立てるなんて非現実的すぎる・・・・・・、まあ、リアリティの問題はひとまず措いておこう。ターゲットを決めるときに使ったトランプのカードを、犯人たちが後生大事に保存しておくなんて変じゃないか・・・・・・、まあ、そんな些細な瑕瑾も気にならないほどプロットが良くできている。

 『キングを探せ』は、犯人が証拠品を偽造していた場合、探偵はそれをどうやって見破ることができるのか、という「後期クイーン的問題」をテーマにしている。「俺たちの中に“キング”がいる」と警察(法月)が勘違いしていることを知った犯人グループは、警察(法月)の見立てに沿った偽装工作を行う。探偵の法月と犯人グループの騙し合いが楽しい作品である。長年「後期クイーン的問題」に取り組んできた作者の解答のひとつと言えるかもしれない。

 倒叙形式が「後期クイーン的問題」を回避する手段となり得るかについては、いろいろと異なる意見があると思う。読者は作者の“神の視点”による記述によって犯人の行動を知ることができるが、作中の探偵役はそうではないからである。
 本書は物語の序盤で犯人グループの行動を描いている。ただし、すべての事情を明かしているわけではなく、『刑事コロンボ』シリーズの第37話『さらば提督』と同じ「半倒叙もの」である。つまり終盤にどんでん返しを用意しているのである。
 法月氏は「探偵の推理の正当性」と「結末の意外性」の両取りを本書で試みたが、二つを同時に達成することはできなかったのではないだろうか。

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