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ヤモリの指

表紙

ピーター・フォーブズ『ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー』(早川書房)

■ バイオ・インスピレーションの取り組み
 「バイオ・インスピレーション」とは聞き慣れない言葉だ。生物の特殊能力にヒントを得て、これを科学技術に応用する分野を指す言葉らしい。日本では、同じ意味の新分野を「バイオ・ミメティックス」と呼んだりするが、ミメティックスというと「盲目的に自然を模倣する独創性のない営み」(本文39ページ)というニュアンスが感じられるため、筆者はあえてこの言い方を避けている。バイオ・インスピレーションが目指すところは、ただの模倣にとどまることなく、自然の生物進化が到達し得なかった新しいのものを生み出すことなのだ。
 ナノスケールの微小世界には、まだ人間が手を付けていない広大な領域が残っていると指摘したのは、驚いたことに物理学者のリチャード・ファインマンだった。彼は、まだ高性能の顕微鏡が登場していなかった1950年代に、その先見性でもって未来の人類が進むべき道を示したのだ。

 ヤモリがガラスの壁をいとも簡単に登り、さらには逆さまになった状態で天井を難なく歩けるのはどういう理由なのか、ハスの葉が泥水をすべて弾いてしまうのはどういう性質があるのか、蝶や昆虫が航空力学の常識を超えて実際に飛べるのはどういう仕組みが働いているのか。本書では、ファインマンの提言から半世紀が経過した今日のナノ領域の研究の成果と、それらを応用した様々なハイテク技術を紹介する。

 「バイオ・インスピレーションが初めて真の意味で商業的に応用されたのは、ロータス‐エフェクトを使った塗料が建物の外壁の塗装に使用されたときだ。それに続いてピルキントン社の自浄作用を持つアクティブ・ガラスが発売された。」(本文53ページ)
 1999年に塗料メーカーのイスポが、建築物の外装用塗料「ロータサン」を発売した。これはハスの自浄作用を応用したものだ。「ヤモリテープ」は、ヤモリの足に生えた微細な枝毛を元に作られている(なんとヤモリは死んだ状態でも垂直な壁にくっつくという)。ほかにも、強靱なクモの糸を人工的に作り出そうとする試みや、シェル構造を用いたオーガニック建築の例など、様々な応用分野に広がるバイオ・インスピレーション技術の現在を知ることができる。筆者の自然に対する真摯な眼差しは、読者に対して自然科学の驚異と共に、将来の明るいメッセージを届けるだろう。

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