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タクティクス・オウガ (SFC)

タイトル画面
・機種スーパーファミコン
・メーカークエスト
・ジャンルシミュレーション
・発売日1995年10月6日
・価格11,400円



■ 僕に新型PSPを買えというのか
 前作『伝説のオウガバトル』(SFC)で新規ファンをガッチリと獲得したクエストは、次に「オウガバトル・サーガ」第7章のゲーム『タクティクス・オウガ』(SFC)の製作に着手しました。これほど発売が待たれ、そしてユーザーの大きな期待に応えてくれた作品が他にあったでしょうか。まさにスーファミソフトの不朽の名作、ベスト・オブ・シミュレーションRPGです。

 スーファミ時代、クリア済みのカセットの多くを売却していた私でしたが、この『タクティクス・オウガ』だけはとても売る気にはなれませんでした。複雑な細工が施された工芸品のような作品を手放したくなかったからです。パッケージ、説明書、小さなアイテム一つ一つのドット絵まで魂が入っています。
 このゲームに熱中したかつてのファンは、やがて熱い思いを語るオウガ信者となり、発売から15年経過した現在でも、続編決定のニュースを待ちわびています。私もその一人です。

 『タクティクス・オウガ』のスクリーンショットがゲーム雑誌に載ると、人々はその斬新なゲームシステムに刮目しました。従来のシミュレーションRPGで使われていた縦×横の平面マップに、「高さ」の概念を加えた立体的なマップが形作られていたのです。城の上階にいるユニットが弓を引き、下段にいるユニットは盾を構えてそれに応戦する、そんな中世時代の戦争の一コマを、2頭身のキャラクターながらも見事に再現していました。

 「スーファミでこんなに凄いシミュレーションゲームが本当に可能なのか!?」。最初に雑誌でスクリーンショットを見たときの驚きと興奮は今でも忘れることはできません。『ファイアーエムブレム』や『スーパーロボット大戦』でも成し得ていなかった高低差の表現から、開発スタッフの強い意気込みが伝わってきました。高低差を利用した第四章の空中庭園ステージは、空前絶後の迫力です。

 極めて先進的なシステムを搭載していた『タクティクス・オウガ』は、その後のシミュレーションRPGに大きな影響を与え、『サモンナイト』、『ディスガイア』、『ブラックマトリクス』などの追随作品を生みました。シミュレーションRPGの新しい見本になったわけです。最大級の讃辞をもって『タクティクス・オウガ』が神格化されている背景には、このような事情があります。

虐殺シーン      人違い

■ 思い通りに行くのがゲームだと割り切りたいから
 高さの概念に加え、もうひとつ『タクティクス・オウガ』の戦闘シーンで独創的なものは、「ウェイトターンシステム」と呼ばれる特殊なターン制です。プレイヤーとCOMが交互にキャラクターを動かす通常のターン制ではなく、個々のキャラクター単位のターン制になっています。
 つまり待機時間が0になったキャラクター順に、敵味方の区別なく行動を決定するのです。非常に身軽なキャラクターだと、鈍重なクリーチャーが1回行動する間に2回行動することも可能です。

 おそらくこれは『ファイナルファンタジーIV』(SFC)で採用されていた「アクティブタイムバトル」を応用したシステムだと考えられます。この新システムの導入によって、どのキャラクターが次に動くのかを確認して、常に敵との間合いを計る必要性が生じました。
 特筆すべきは、3次元化したマップとウェイトターンシステムが巧みに融合している点です。このゲームでは高台から放たれる弓矢の威力が高いため、キャラクターの位置取りが重要になります。しかしウェイトターンシステムが、その位置取りを難しくしているのです。高度な戦略が求められる『タクティクス・オウガ』はやり応え十分です。

 ただ、少々残念に思うのは、ゲームバランスの調整があまりうまくいっていません。全員のレベルを均一化するトレーニングを前提としたレベル依存のバランス調整は、最終的にステータスによるバランス調整を放棄したように感じました。ダメージ量(=攻撃力-防御力)が簡単に計算できる『ファイアーエムブレム』のような厳密性はありません。そのため、戦略シミュレーションとしての完成度は、「詰め将棋」と喩えられる『ファイアーエムブレム』が一枚上手だと評価する人もいます。
 また、ハボリム先生+ペトロクラウドの組み合わせ、ネクロマンシー&リーンカーネイトで無双キャラ作成、さらにそのキャラをスナップドラゴンで剣化と、ゲームバランスを崩壊させてしまう裏技的テクニックも多数あり、レベル依存のバランス調整さえ失敗に終わっています。

 「ゲームバランスはプレイヤー側で調整してください」と突き放した感のある『タクティクス・オウガ』。しかし私はそのことを否定的には捉えていません。能力値を限界まで上げてとことんキャラクターを鍛えるのも良し、ストイックな縛りプレイを楽しむのも良し、その遊び方はプレイヤーに任されているのです。ゲームバランスの甘さは、逆にプレイスタイルの幅を広げていると割り切りたいですね。

聖騎士ランスロット      作戦会議

■ 誰も松野氏を責めることはできない
 このゲームではプレイヤーの選択によって、大きく分けて「ロウルート」、「カオスルート」、「ニュートラルルート」の3つにストーリーが分岐します。最終章の第四章「手をとりあって」に入るとストーリーが1つに収束してしまうのは不満点ですが、それでもシナリオのボリュームは十分です。
 ゲームをクリア後した後に、攻略本で地下100階の「死者の宮殿」の存在を知り、あらためて『タクティクス・オウガ』のスケールの大きさを肌で感じました。
 民族紛争を主題にした架空の戦記に酔い、練りに練られた登場人物のセリフに酔い、隅々まで美麗に描かれたグラフィックに酔うゲーム。シミュレーションRPGの最高傑作という地位は、今でも揺らぐことはありません。

 開発者である松野泰己氏の構想によると、オウガバトル・サーガは第1章から始まり第8章で終わる気宇壮大な戦記物です。『伝説のオウガバトル』(SFC)が第5章、『オウガバトル64』(N64)が第6章、『タクティクス・オウガ』が第7章に該当します。
 松野氏ほか『タクティクス・オウガ』の開発に従事した中心メンバーが、クエストからスクウェアに移籍したときは、オウガシリーズが今後継続していくのか一抹の不安が過ぎりました。その不安が現実のものになろうとは・・・・。

 2010年現在、オウガバトル・サーガは事実上1999年の『オウガバトル64』でストップしています(ちなみにこのクエスト製のゲームは、松野氏の作品ではない)。スクウェアに移籍後、松野氏は『ファイナルファンタジータクティクス』(PS)と『ベイグラントストーリー』(PS)を製作し、2005年8月に同社を退職。スクウェア退社の理由は明らかになっていません。この間、オウガシリーズの新作が作られることはなく、ファンをヤキモキさせたことは記憶に新しいです。

 しかし2010年7月、『タクティクス・オウガ』のリメイク作品である『タクティクスオウガ 運命の輪』(PSP)の製作が発表されました。この朗報によって止まっていた時計の針が少し動き出した予感がしています。
 『伝説のオウガバトル』、『タクティクス・オウガ』を満喫したゲームファンを、松野氏は三度驚かせてくれるのか、事の成り行きを見守ることに致しましょう。

全体マップ      除名しない

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愛を感じます
このレビューを読んで、タクティックスオウガへの愛を感じました。
拙者ももう17年前にこのゲームをSFCでプレイしてはまったくちです。
当時のCMも斬新でかっこよかったですねぇ。
またプレイしたくなりました。
[ 2012/02/09 22:43 ] [ 編集 ]
ちょっと文章を訂正
このゲームについては、楽しいというより出来の良さに感心しましたね。
思い出すだけで、懐かしい・・・・
[ 2012/02/10 00:10 ] [ 編集 ]
タクティクスオウガの続編をプレイしてみたくてたまらない!
タクティクスオウガのSFC版にはまってからタクティクスオウガのとりこです。このバトルシステムも非常に大好きです。他のゲームのバトルは不快になることが多いのですが、タクティクスオウガのバトルはとっても面白く楽しいです。他のゲームでは敵は気持ち悪いモンスターが多いのに、タクティクスオウガは敵のデザインまでも可愛いし!リアリティがあって感情移入もしやすく、大人になってからもタクティクスオウガと初めてであった衝撃は到底忘れることができません。PSP版ももちろん購入しプレイしています。本当に最高のゲームですよね。続編、ぜひとも作って欲しいです。渇望しています。v-237v-237v-237
[ 2012/04/11 00:14 ] [ 編集 ]
若さってなんだ!?
タクティクスオウガは確かに大名作で今も語り継がれてますが、これは当時の環境だからこそ作れた逸品だと思います。
今、松野氏を始め当時のスタッフが仮に集まったとしても、当時若くバイタリティに溢れてた当時の彼らが作ったものを、
20年近く経った今、同じようにあのレベルまで仕上げて作れるのか?と言われると、どうしても疑問に思ってしまいます。
個人的にスーパーファミコン版のタクティクスオウガという作品は、そういう風な若い頃のパワーと情熱であそこまで引き揚げ
仕上げられた作品なんだと感じました。でも希望は持ってますんで、いつの日か当時に負けない新作が出るといいですね。
[ 2014/01/04 19:02 ] [ 編集 ]
続編を期待していますが
やっぱり今の松野氏にそれを期待するのは酷なんでしょうね。
新作は夢に終わりそうです。
[ 2014/01/04 23:48 ] [ 編集 ]
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