・機種 | ファミコン |
・メーカー | 任天堂 |
・ジャンル | アクション |
・発売日 | 1992年9月14日 |
・価格 | 4,900円 |
■ 『夢工場 ドキドキパニック』のマリオver. アメリカから逆輸入 ファミコン最後のマリオ作品『スーパーマリオUSA』(FC)は、87年7月にディスクシステムで発売された『夢工場 ドキドキパニック』の改変バージョンです。米国で『スーパーマリオブラザーズ2』として発売されていたものが(※)、日本に逆輸入されました。題名の「USA」はそこから取られていて、ゲームの内容とは特に関係はありません。舞台はアメリカではなく、アラビア風の世界です。
原作の『夢工場 ドキドキパニック』(FDS)は、フジテレビのイベント「コミュニケーションカーニバル 夢工場'87」に合わせて製作されたコラボ商品でした。イベントキャラクターの「イマジン一家」が登場する縦横スクロールの名作アクションゲームです。
『夢工場』は「フジテレビw 企画ものw」と侮っていたユーザーの予想を大きく上回る完成度で、改めて任天堂の開発力の高さを印象づけたゲームでした。『スーパーマリオ』の生みの親である宮本茂氏も開発スタッフの一人です。
『USA』(=『夢工場』)には4人の操作キャラクターがいて、運動能力がそれぞれ異なっています。ジャンプ力は、ルイージ(=ママ)>マリオ(=イマジン)>ピーチ姫(=リーナ)>キノピオ(=パパ)の順に、腕力は、キノピオ(=パパ)>マリオ(=イマジン)>ルイージ(=ママ)>ピーチ姫(=リーナ)の順になっています。
『夢工場』では力持ちキャラだったパパが、『USA』ではキノピオに変えられていて、少し違和感を感じました。キノピオって、こんな
ガチムチマッチョなキャラでしたっけ? 他に適当なキャラクターがいなかったのでしょうか。
ピーチ姫(=リーナ)は、ジャンプボタンを押し続けることで一定時間「空中歩行」が可能です。ジャンプ調整が楽なので初心者向けのキャラクターですね。
各キャラクターとも、十字キーを下に押し続けると体が光り、その状態でジャンプするといつもより高く跳ぶことができます。攻略上、この大ジャンプが求められる箇所があります。さらに『USA』ではBダッシュが追加され、『夢工場』よりも操作しやすく改良されています。
※日本版の『スーパーマリオブラザーズ2』は、海外名を『Super Mario Bros. The Lost Levels』といいます。SNESの『スーパーマリオコレクション』に収録してあるもので、NES単品の『Super Mario Bros. The Lost Levels』は販売されていません。
■ 呪いのカメーンの怖さは異常 『USA』は元が別のゲームであるため、いつもの『スーパーマリオ』シリーズとは少し違ったゲームシステムになっています。敵キャラや地面に生えている野菜を持ち上げて放り投げる、とてもユニークなアクションが特徴です。また、最大4つまで増やせる「ライフ制」を採用しています。
アイテムの「魔法のランプ」を地上で投げると、赤い扉が出現します。扉に入ると、8秒間だけその1画面分の暗い「裏世界」に行くことができます。ライフを増やすキノコは、この裏世界の決まった場所に置いてあります。
魔法のランプは、非常に面白いと感じた仕掛けでした。裏世界では野菜を引っこ抜くとコインに変わるので、野菜がいっぱい生えている地点までランプを落とさずに持って行くのが通例です。コインはステージ終了時のスロットで使えます(なお、『夢工場』と比較して、スロットは当たりにくくなっています)。裏世界にはワープ可能な壺があったりして、しらみつぶしにランプを使って調べたのはいい思い出です。
扉を開ける鍵を持つと、どこまでもしつこく追ってくる敵キャラの「カメーン」は、このゲームの名物です。不気味なカメーンにはトラウマを感じた人も多いようで、私もすぐに鍵を捨てたくなりました(笑)。
個人的には『スーパーマリオUSA』ではなく、世界観とキャラクターの調和がある『夢工場 ドキドキパニック』の方が好きですね。もちろん北米に輸出する際に、『スーパーマリオ』シリーズに改変した理由はよく分かりますけど。
それに『夢工場』では4人全員が1-1から7-2までをクリアする必要があったため、キャラクターによって得意ステージ、苦手ステージが生まれ、キャラクターごとの攻略法を探す楽しみがありました。『夢工場』にあって『USA』にないものは、ゲームのメリハリといえるでしょう。