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マクドナルド化した社会

表紙

ジョージ・リッツア『マクドナルド化した社会 果てしなき合理化のゆくえ 21世紀新版』(早稲田大学出版部)

■ マクドナルドを分析した社会学の一冊
 マクドナルドカラーで装丁された本書は、1993年に出版された旧版(1996年に邦訳『マクドナルド化する社会』が刊行)の「新世紀改訂版」である。著者は現在メリーランド大学で教鞭を執る社会学者のジョージ・リッツア博士。冒頭で「マクドナルド社に対して特別な敵意を抱いていない」と前置きしているが、基本的には世界全体が「マクドナルド化」していくことへの警鐘を鳴らしていると考えてよい。
 マクドナルドを扱った書籍といえば、ファーストフード産業の闇の世界を暴露してベストセラーとなったエリック・シュローサー著の『ファーストフードが世界を食いつくす』(草思社)が思い浮かぶが、この『マクドナルド化した社会』は、マックス・ウェーバーの合理化理論の延長線上にある社会科学の研究書であり、環境問題や健康問題からアプローチした関連書籍とは一線を画す。

 本書における「マクドナルド化」とは、「ファーストフード・レストランの諸原理が、アメリカ社会のみならず世界中の国々の多くの部門でますます優勢になっていく過程」のことを指す。(本文9ページ)
 1955年に創業し、今では世界中に店舗を拡大したマクドナルド社の成功は、外食産業やフランチャイズ業界のみならず、社会のあらゆる分野にまで影響を与えている、とリッツアは分析する。
 マクドナルド社の基本戦略は、モーリス・マクドナルドとリチャード・マクドナルドの兄弟によって考え出された。だが、マクドナルド社の一連の「合理化過程」を完成させたのは、マクドナルド兄弟の元パートナーで、のちに会社を買い取ったレイ・クロックである。
 クロックが作り上げた合理化と画一化の原理は、いまではイリノイ州にあるセンター(通称ハンバーガー大学)で教えられており、「ハンバーガー学」の学位まで与えている。

 リッツアは合理化の基礎次元として「効率性」、「計算可能性」、「予測可能性」、「制御」の4要素を挙げ、これに沿ってマクドナルドにおける多数の事例を検証していく。
 マニュアル化、システム化、ルーティン化、オートメーション化と言い換えてもいいだろうが、マクドナルドの成功の柱となった諸要因が画一化された社会を生み、それが非人間的な世界を形成していると警告する。
 さらに「合理化がもたらす非合理性」という観点からもマクドナルド化を批判しており、このあたりの切り口はマックス・ウェーバーの「逆説」を念頭に置いているものと推察される。


■ マクドナルド化(=マニュアル化)の問題提起に疑問符
 マクドナルドが作り上げた合理化過程は、商品を作る経営側・従業員側の規律となっているだけではなく、店に来た客もその役割の一端を担っている。例えば、本来ならレストランの従業員がやるべき仕事(注文した食事を席まで運ぶ、使用したトレイ・ゴミくずを片付ける、などの行為)を客は何の疑問も持たずに自分で行っている。洗浄の必要があるナイフやフォークは使わせない、商品は素手で食べろと要求されるが、いちいち文句を言う人間はいない。長居をされては困るので、座り心地のよくないイスにしてみたり、冷房を強くしてみたり、客の素早い入れ替えには余念はない。客も気にすることなく当然のことのように、食べ終えるとすぐに店を後にする。

 筆者のリッツアはこうしたサービスの流れ作業化に苛立ちを隠すことなく、後半ではもっと地元の商店街で買い物をしたり、なるべくフランチャイズの店に行かないようにと提案をしている。
 しかしながら、現在のマクドナルド化の流れは誰かに強制されたのではなく、半ば我々が望んだ結果であるということを無視してはいけない。店員と長い会話を交わすことなく商品(ハンバーガーやポテト)を注文でき、期待した商品が期待した味、期待した大きさ、期待した時間で出てくる。世界のどの都市へ行っても大差のない食事がとれる。これは一種の革命ではないだろうか。

 日本は、本国アメリカ以外でマクドナルド化に成功したもっとも顕著な国である(店舗数4000店は、各国と比較しても群を抜いて多い)。日本ではファーストフード店と競合する弁当屋やうどん屋が存在するにもかかわらず、この盛況ぶりである。
 もちろん日本マクドナルド社の営業努力もあるだろうが、マクドナルドのサービス全般が現代の日本人の気質に合っていたと考えるのが妥当である。消費者は当社のハンバーガーを好んで受容しているのだ。我が国の状況を鑑みると、マクドナルド化の現象を「危機」と捉えることが、いささか滑稽なことに思えてくる。

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