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カササギ殺人事件

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アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件〈上〉』(創元推理文庫)
アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件〈下〉』(創元推理文庫)

■ ミステリー小説は、21世紀になっても進化する
 日本では毎年、宝島社が発行するムック本『このミステリーがすごい!』や『週刊文春』誌上の「ミステリーベスト10」コーナーなどで、その年に刊行されたミステリー小説のランキングが発表される。

 私はその中から自分の好み(本格物)に合うような作品を数冊選んで読んでいるのだが、ランキング上位の作品がすべて面白いと感じるわけではない。半数ほどの作品は、期待外れに終わってしまう。本格物を謳っているのにサスペンス色が強すぎたりすると、斜め読みに移行して、頭の中に内容が入ってこない。同業者や評論家の“絶賛の声”に騙されたと苦々しく思うことも多々ある。――「クソッ! こんな駄文に金を払うくらいなら、鰻丼でも食べに行った方がマシだったわ!」と、もちろんこんな下品なことを叫んだりはしないが、心にはモヤモヤとした感情が広がる。

 やたら面白いと評判になっていた『カササギ殺人事件』を書店で手に取る。紹介文には、「巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なオマージュ作品!」と書かれている。
 アガサ・クリスティ大好き人間の自分としてはすごく惹かれる……、でも上下巻あるし、騙されたときのダメージは大きい……、そんな期待と不安が入り交じった気持ちで、上巻をちびちびと読み進め、下巻に入ってからページをめくる指が止まらなくなり一気に読了。――本物の大傑作だった。

 エラリー・クイーンの『Yの悲劇』のような、死んだ人間が書き残した物語に犯人を特定する鍵がある、という筋書きは、ミステリーの世界では特に珍しくないが、小説内で抜粋という形で呈示される場合がほとんどである。本書のように長編を丸々一冊分載せるのは前例がなかったと思う。その小説内小説が傑作というなら尚更だ。
 小説内小説の『カササギ殺人事件』(上巻)だけでも、アガサ・クリスティの代表作を読んでいるような満足感に包まれる。『カササギ殺人事件』の結末部分を探す現実世界の物語(下巻)にも驚かされた。今後、オールタイムベスト100にリストアップされる可能性が高い作品であろう。

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ゲームボーイパーフェクトカタログ

表紙

前田尋之『ゲームボーイパーフェクトカタログ』(ジーウォーク)

■ 女の子だって、ゲームボーイ。
 『メガドライブパーフェクトカタログ』、『ゲーム&ウオッチパーフェクトカタログ』に続く、前田尋之氏の「パーフェクトカタログ」シリーズ第3弾。本書は任天堂が発売した携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」の全ソフトを紹介したカタログ本である。『メガドライブパーフェクトカタログ』と同じB5判型の大判サイズで、とても見やすい本になっている。

 ゲームボーイソフトのカタログ本といえば、2005年に発売された裏テク遊戯団の『GB1236タイトル完全カタログ』というムック本が存在していた。しかしこの本は、ゲームボーイ晩年のソフトのゲーム画面をほとんど掲載していない。
 まあ、不完全なりに重宝していた本ではあるが、以前から完全なカタログ本があればいいと思っていた。監修者の前田氏には「ゲームファンの願いを叶えてくれてありがとう」とお礼を言いたい。

 本書の構成について説明すると、基本的に1ページに8タイトルを収録している。各タイトルにつき、パッケージの写真1枚とゲーム画面の写真1枚(主要タイトルはゲーム画面の写真2枚)、それに簡単な説明文が付いている。個人的にはタイトル画面の写真も付けて欲しかった。
 ソフトが「通信ケーブル」や「スーパーゲームボーイ」など4種類の周辺機器に対応しているか、アイコンで明記している点が分かりやすい。特殊な仕様のソフトを探すときに便利だと思う。

 ゲームボーイの黄緑がかった液晶画面を見ると、ノスタルジックな感情が湧き起こる。発売当時は抜群に性能が良い携帯ゲーム機だとは思わなかったが、小さい画面でよくここまで作り込んだなと感心するソフトが多かった。『ポケットモンスター』シリーズを生んだ携帯ゲーム機として、ゲームボーイは私たちの記憶の中でいつまでも生き続けるだろう。

 なお、来年の2月には、レトロゲーム愛好会による『ゲームボーイコンプリートガイド』が刊行される予定になっている。「パーフェクトカタログ」と「コンプリートガイド」の戦いから、今後も目が離せない。

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メガドライブコンプリートガイドwithマークIII

表紙

レトロゲーム愛好会『メガドライブコンプリートガイドwithマークIII』(主婦の友社)

■ メガドライバー 秋の収穫祭
 メガドライブソフトをこよなく愛するメガドライバーにとって、今年は当たり年ではないだろうか。5月に発売された『メガドライブパーフェクトカタログ』に続いて、2冊目のカタログ本になる『メガドライブコンプリートガイドwithマークIII』が今月発売されたのだ。半年前に刊行された『PCエンジンコンプリートガイド』の姉妹本にあたる。

 特に注目すべき点は、書名に「withマークIII」の文字が刻まれていること。そう、メガドライブの先輩であるセガ・マークIIIのソフトについても、本書は完全網羅している。セガのゲームで青春を過ごしたセガ大好きっ子の諸君なら、決して見過ごすことはできない本であろう。

 『メガドライブパーフェクトカタログ』をすでに購入済みの人は、本書との違いが気になるところだと思う。『メガドライブコンプリートガイド』はA5判サイズの書籍で、B5判サイズの『メガドライブパーフェクトカタログ』より一回り小さいものの、ソフト紹介にパッケージとカートリッジの写真まで付いているのが特徴である。
 完全度・濃密度はこちらの方に軍配が上がると思うが、メガドライバーなら当然2冊とも買うだろうし、いやもう買っているだろうし、とにかく四の五の言わずに買って幸せになろうじゃないか。

 本書に掲載された完全体メガドライブの写真――本体にメガCDとスーパー32Xを合体させた「メガタワー」の雄姿――を見ると、セガはいろんな意味で常識外れだと思った(笑)。

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翻訳できない世界のことば

表紙

エラ・フランシス・サンダース『翻訳できない世界のことば』(創元社)

■ 「木漏れ日」という言葉に、日本語の暖かさを感じる
 腕時計を手首にはめていたときや、靴下を履いていたときにできる、肌についた擦りあと。この擦りあとを表現する直接的な言葉は、日本語には存在しない。しかしインド南西部の地方で話されているトゥル語には、これに該当する「カレル」という名詞がある。
 インドの女性たちはバングル(腕輪)やブレスレットをたくさん身につける。この地域では体を締めつける装飾品の数が多いため、カレルという特別な言葉が生まれたのだろう。

 逆に日本語にあって海外の言語には見当たらない言葉もある。「積ん読」がその一例である。買った本を読まずに積んでおく行為を指す言葉だが、「積んでおく」→「積ん読」の駄洒落が語源であるので、他の言語に同意語がないのは当然かもしれない。インターネットのニュースサイトによると、最近では「Tsundoku」という言葉がそのまま海外に輸出されているらしい。

 本書(原題は『LOST IN TRANSLATION』)は、上記のような翻訳しにくい各国の言葉を集めた「単語帳」である。見開きのページに一つずつ、オシャレなイラストとともに紹介している。大人が見ても楽しめる絵本のような作りになっている。
 筆者は女性イラストレーターのエラ・フランシス・サンダース。インターネットで「翻訳できない言葉」の記事を書いたことがきっかけとなり、記事が書籍化されたそうだ。まさに“コンセプトの勝利”である。

 水が貴重な場所であるアラビアには、「グルファ」という名詞がある。意味は「片方の手の平にのせられるだけの水の量」。トナカイがいるフィンランドには、「ポロンクセマ」という名詞がある。意味は「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離」。――なるほど、どちらもその地域の風土を反映した言葉であり、実にイメージしやすい。
 ハワイ語の「アキヒ」の項目を読むと、ハワイは忘れっぽい人が多いのかなと不思議な気持ちになるし、スウェーデン語の「モーンガータ」の項目を読むと、夜の海の静謐な雰囲気を味わえる。言葉をめぐる旅を本書で体験してみてはいかがだろうか?

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江戸川乱歩と横溝正史

表紙   表紙

中川右介『江戸川乱歩と横溝正史』(集英社)
内田隆三『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』(講談社選書メチエ)

■ お互いを意識し合った作家人生
 戦前から戦後の長い期間にわたり、日本のミステリー界を牽引した江戸川乱歩と横溝正史。今回は乱歩と正史の二大巨匠に焦点を当てた書籍を2冊紹介したい。

 1冊目は中川右介氏の『江戸川乱歩と横溝正史』。本書は二人の経歴と交友を詳細に書き表した評伝である。膨大な文献資料から事実と確認できるものをまとめている。乱歩は戦前に活躍した作家、正史は戦後に花開いた作家という漠然としたイメージがあったが、本書によって考え方を大きく改めることになった。
 戦前、雑誌の編集者と作家の二足の草鞋を履いていた正史は、筆の進みが遅い乱歩を励ましながら様々な名作を書かせた。戦後、評論活動に軸足を移した乱歩は、療養明けの正史をサポートし、偉大な「金田一耕助」シリーズが生まれるきっかけを作った。利己主義の傾向が強い作家が多いなか、こうした二人の関係性は特に珍しいと思う。

 同時進行で二人の作家人生をたどっていくと、乱歩と正史はお互いを支え合いながら良い作品を生み出そうと切磋琢磨していたことが読み取れる。「金田一耕助」シリーズの第1作目の『本陣殺人事件』について、乱歩はいくつか不満を漏らしているが、こうした批判を糧にして正史は『獄門島』や『八つ墓村』などの傑作を書いたのであろう。
 正史がいなければ乱歩は存在せず、乱歩がいなければ正史は存在しなかった。二人は親友であり、好敵手でもあったのだ。

 2冊目は内田隆三氏の『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』。こちらは乱歩と正史の作品を、社会風俗の観点から掘り下げた評論である。どちらかと言えば乱歩作品の分析に重点を置いている。
 乱歩の『屋根裏の散歩者』は、鍵が掛けられるアパートの個室が天井裏ではつながっているという日本家屋の構造的欠陥なしには成立しない作品であった。正史の『獄門島』については、家庭という意味での「家の悲劇」を寓話的に写し取っていると解釈する。

 乱歩の『陰獣』には自分自身をモデルにした大江春泥という探偵小説作家が登場するが、このことにより読者は大江=乱歩、つまり大江は男性であるという先入観を持つ。これは後に乱歩が「トリック外トリック」と呼んだメタ・トリックの手法であった。
 また、乱歩の最高傑作と目されている幻想小説の『押絵と旅する男』の分析では、三つの物語世界が入れ子構造をなしていることに着目し、語り手の不安定さを浮き彫りにしていく。いずれも興味深い論考であり、読書欲を刺激された。

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メガドライブパーフェクトカタログ

表紙

前田尋之『メガドライブパーフェクトカタログ』(ジーウォーク)

■ まさにパーフェクトなカタログ本!
 メガドライブ関連の全ハードと全ソフトを紹介した『メガドライブパーフェクトカタログ』が、先月の29日に発売された。B5判型の大判サイズの書籍で、オールカラーという贅沢な作りになっている。メガドライブカタログ本の“決定版”と言っていいだろう。
 2015年に増補改訂版が刊行された『メガドライブ大全』は、レビューの文章がおちゃらけた感じなので、それが気に入らないという人にオススメしたい。

 セガは任天堂のファミコンが発売された同じ日(1983年7月15日)に、家庭用ゲーム機のSG-1000を発売。翌年にマイナーチェンジ版のSG-1000IIを、さらに翌年の1985年にセガ・マークIIIを発売するが、圧倒的な人気を誇るファミコンの前では存在感が薄かった。
 1987年10月にファミコンのライバル機となるPCエンジンが登場し、セガは2つのマシンに対抗して、1年後の1988年10月に16ビットのCPUを搭載したメガドライブを誕生させた。いわゆる「ゲームハード三国時代」の到来である。

 メガドライブは1990年11月に発売されたスーパーファミコン(ファミコンの後継機)と性能面で比較されることが多い。同じ16ビットのゲーム機でありながら、メガドライブとスーパーファミコンは設計思想が大きく異なっている。
 メガドライブはCPUの処理速度を重視していて、アクションゲームやシューティングゲームが得意である。しかし同時発色数は512色中64色と少なく、グラフィック面で見劣りする。FM音源搭載で音質はややチープ。
 スーパーファミコンは表示色数、同時発色数ともに多く、グラフィックは鮮やか。PCM音源搭載で音質もメガドライブより上。しかしCPUの性能が低いため、シューティングゲームは劣化移植作品が多かった。シミュレーションゲームも苦手。ロールプレイングゲームが非常に多いのはこのためである。それぞれ一長一短があり、どちらが優れたマシンであるかは好みの問題だと思う。

 メガドライブソフトで私が一番印象に残っている作品は、カプコンの『大魔界村』である。この『大魔界村』はメガドライブとPCエンジンに移植されたが、スーパーファミコンには移植されなかった。カプコンは実におたんこなすである。
 えっ? スーパーファミコンには『超魔界村』があるじゃないかって?  『超魔界村』はアーサーの動きがモッサリしているところがねぇ……

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ゲームウォーズ

表紙表紙

アーネスト・クライン『ゲームウォーズ(上)』(SB文庫)
アーネスト・クライン『ゲームウォーズ(下)』(SB文庫)

■ スピルバーグ監督が映画化!
 4月20日から上映が始まったSF映画『レディ・プレイヤー1』の原作小説。原題は映画の題名と同じ『READY PLAYER ONE』。『ゲームウォーズ』という題名は日本独自のものである。おそらく細田守監督のアニメ映画『サマーウォーズ』を意識して、『ゲームウォーズ』に改題したと思われる。
 外国の映画を日本で上映する場合、邦題をどうするかという問題がある。原題をそのままカタカナ表記にすることもあれば、日本人に分かりやすく、またインパクトがあるように題名を作り替えることもある。『The Apartment』→『アパートの鍵貸します』は後者の秀逸な例だろう。

 本作は西暦2041年のアメリカを舞台にしたSF小説だ。〈オアシス〉と呼ばれる仮想空間で活動する少年少女の姿を描いている。主人公のウェイド・ワッツはトレーラーハウスで暮らす下流階級の人間だが、〈オアシス〉の世界では凄腕のガンター(〈オアシス〉の創設者ジェームズ・ハリデーが隠した遺産を探すトレジャーハンターのこと)として活躍している。

 ある日、ウェイドは遺産の場所を示す最初の鍵「コッパー・キー」を世界で初めて手に入れ、一躍有名人になる。〈オアシス〉を管理する組織IOIは、ハリデーの遺産を手に入れようとしてウェイドに接触を計るが、ウェイドはIOIの勧誘を拒否。それ以降、ウェイドはIOIに命を狙われるようになる――というあらすじだ。

 ウェイドが「コッパー・キー」を手に入れたゲームは、なんとレトロゲームの『ジャウスト』。死んだハリデーは1980年代のポップカルチャーのオタクであった。彼の遺産を手に入れようとする者は、ハリデーが〈オアシス〉内に仕込んだコンピュータゲームを次々と攻略しなければならないのだ。『ゲームセンターあらし』や『ファミコンロッキー』といったゲーム漫画が好きな人なら、きっとこの小説を気に入るに違いない。

 さて、スティーヴン・スピルバーグ監督によって映画化された『ゲームウォーズ』、もとい『レディ・プレイヤー1』を観た感想だが、原作で「余計だな」とか「退屈だな」と感じた部分がすべて削ぎ落とされ、見どころ満載のスペクタクル映画に仕上がっていた。
 絵的に映えないレトロゲーム勝負を迫力満点のカーレース勝負に変え、個人vs組織の構図を抵抗勢力vs組織の構図に変え、ホラー映画『シャイニング』の世界を再現するというサプライズまであり、実に見事な脚本というしかなかった。未だ衰えることがないスピルバーグ監督よ、良い映画をありがとう!

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PCエンジンコンプリートガイド

表紙

レトロゲーム愛好会『PCエンジンコンプリートガイド』(主婦の友社)

■ PCエンジンの歴史がこの一冊の中に!
 ファミコンを凌ぐ性能を持ち、アーケードゲームを好むコアゲーマー層から熱い支持を得たPCエンジン。本書はそのPCエンジンの全ソフトを掲載したカタログ本である。ファミコンソフトやメガドライブソフトのカタログ本はすでに出版されているが、PCエンジンソフトのカタログ本は、(本格的なものとしては)これが初めての出版ではないだろうか。HuCARD とCD-ROM の2種類のソフトの写真がバッチリ載っていて、レトロゲームファンなら興奮すること間違いナシだ!

 PCエンジンが発売された1987年の頃は、家庭用ゲーム機のゲームとアーケードのゲームにはグラフィック面において大きな格差があった。アーケードゲームを自宅で思う存分遊びたいと、ゲーマーたちは日々悶々としていたのだ。
 ファミコンには数多くのアーケードゲームが移植されていたが、そのほとんどがファミコン本体の性能に合わせて劣化していた。キャラクターが小さくなり、色数が減り、敵の数が減り、BGMが貧弱になり、その惨状はとても正視できるものではなかった。劣化移植作品をつかまされて嗚咽を漏らしたゲームファンは日本に何十万人といただろう。

 だが1988年3月に発売されたPCエンジン版の『R-TYPE』はゲームファンの度肝を抜いた。アーケードの人気シューティングゲームが、驚異のグラフィック力によって再現されていたのだ。私はボスキャラのドブケラドプスの迫力に圧倒され、「任天堂なんてダッセーよな」、「PCエンジンのほうが面白いよな」と叫びたくなってしまった。

 アーケードゲーム至上主義者の私は、ナムコが積極的に自社のアーケードゲームをPCエンジンに移植していたことに心を動かされたが、次々と周辺機器や新型機が発売されたため本体を購入するタイミングを逸してしまった。
 最終形態のPCエンジンDuo-RXが発売されたのは、初代プレイステーション発売の半年前。さすがのPCエンジンも、32ビット機のプレステにはかなわない。PCエンジンの後継機PC-FXをギャルゲー専用機にしたのは誰だあっ!!

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オリンピック・デザイン・マーケティング

表紙

加島卓『オリンピック・デザイン・マーケティング エンブレム問題からオープンデザインヘ』(河出書房新社)

■ エンブレム騒動の本質を問い直す
 2015年7月24日に発表された東京オリンピックのエンブレムと、それが撤回されるまでの騒動を覚えている人は多いだろう。デザイナーの佐野研二郎氏が制作したエンブレムは、TOKYOの頭文字である「T」をモチーフにしていたが、中央の黒い縦線が目立つ異様なデザインであった。インターネット界隈では、発表直後からエンブレムに対する異論が噴出していた。
「落選した他の候補作品を見せて欲しい」
「招致運動のときに使われたエンブレムの方がきれい」
といった意見が多く、佐野氏のエンブレムを歓迎する声は少なかったと記憶している。

 選考結果についてネット民がざわついていたところ、このエンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ているという話が広まり、ロゴ制作者のオリビエ・ドビ氏はIOCにエンブレムの使用差し止めを求める動きを見せた。同じ時期に佐野氏がデザインしたサントリーの景品(トートバッグ)のイラストに盗用があることが指摘され、「パクリ」疑惑はヒートアップ。次々と燃料が投下されて大炎上となった。

 8月5日、組織委員会は佐野氏本人と記者会見を行い、オリンピックのエンブレムは「T」と「円」を組み合わせたもので、「T」と「L」を組み合わせたリエージュ劇場のロゴとは全く異なることを強調。また、エンブレムは正方形を9分割した設計であることを示したうえで、「展開力」という言葉を使いエンブレムの独自性を主張した。しかし世論は納得せず、事態が収束することはなかった。

 8月28日、審査委員代表の永井一正氏が選考過程を説明し、エンブレムは佐野氏の原案を二度修正したものであることを明かした。ベルギーでの訴訟に備えてリエージュ劇場のロゴとの違いを明確にしておこうという思惑からだったが、今度は「出来レース」の疑いが強まることになった。
 さらに佐野氏の原案が、2013年11月に開催された「ヤン・チヒョルト展」のポスターの構図と酷似していることが発覚。これでもう組織委員会は耐えきれなくなった。「パクリ」と「出来レース」という2つの醜聞にさらされたエンブレムが撤回されたのは、その4日後であった。

 本書は前半で過去のオリンピックのエンブレムと広告ビジネスとの関係を整理し、後半で撤回されたエンブレムについて「パクリかどうか?」「出来レースかどうか?」という疑惑の核心に迫っている。
 筆者は2012年ロンドン大会のエンブレムを例に挙げ、エンブレムの「作り方」と「使い方」の混乱が今回の騒動を招いた原因であると考える。作り方を重視するデザイン関係者と、使い方を重視する広告関係者の意思疎通が十分ではなかった可能性があるというのだ。社会学の手法を用い、俯瞰的な視点から問題の本質を冷静にあぶり出している。

 「パクリ」と「出来レース」の疑惑については、追究する側と追究される側の双方の立場に立ったフェアな分析をしている。したがってクロかシロかはっきりと断定しているわけではないので、週刊誌的な暴露話を期待している人は物足りないと感じるかもしれない。
 もしエンブレム選考に関わった人々の間で何らかの“忖度”が行われていたとしても、その内幕が公表されることはないだろう。これからも永遠に。

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非売品ゲームソフト ガイドブック

表紙

じろのすけ『非売品ゲームソフト ガイドブック』(ゲームラボ選書)

■ 知られざるレアソフトの世界
 ゲームソフトを集めていると、どうしても気になるのが「非売品」のレアソフト。中古品を扱っているゲームショップで、ガラスケースの中にこれ見よがしに飾ってある“お宝”だ。
 非売品ソフトとは、雑誌の懸賞品、ゲーム大会の記念品、企業が配ったプレゼント品など、一般には販売されなかったゲームソフトのことである。当然ながら流通本数は少なく、ネットオークションでは数十万円の値段が付くものまである。所有しているとちょっとばかり自慢できるかもしれない。

 本書はファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジン、プレイステーションなどの、各ゲーム機の非売品ソフトを写真付きで紹介している。パッケージと中身の写真のみでゲーム画面は載っていないものの、カタログとしての価値は高い。今までありそうでなかった本である。
 私はファミコンとスーパーファミコンの非売品ソフトについてはだいたい知っているが、その他の機種の非売品ソフトについては詳しくないので、非常に参考になった。

 といっても、スマホが普及した現在では、リサイクルショップでこれらの商品を安く手に入れる機会など皆無であり、「あ~、こういうレアソフトもあるんだなぁ」としんみり鑑賞するだけである。
 私はレトロフリークを購入した後、PCエンジンのHuカードのソフトが欲しくなり、中古ショップを回ってみた。しかしめぼしい商品はほとんど発見できなかった。どうやら円安時代になって、外国人にあらかた狩られてしまったらしい。
 悲しい。(´・_・`)

 ちなみに、ゲーム芸人のフジタさんは、600本限定の『タッグチームプロレスリング スペシャル』(箱・説明書付き)を持っていたが、番組で自宅を撮影した後にソフトが消えていたそうだ。借パクした奴は誰だよw

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プロフィール

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ども、ブログ管理人のうどん太郎です。
主にレトロゲームのレビューと関連ゲーム動画の紹介をしています。

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