
・機種 | スーパーファミコン |
・メーカー | カプコン |
・ジャンル | アクション |
・発売日 | 1990年12月21日 |
・価格 | 8,500円 |
■ SFC版『ファイナルファイト』は妥協の産物 スーパーファミコンが登場して私が最も期待したことは、アーケードゲームの完全移植でした。7年以上も前に発売された旧式ゲーム機のファミコンでは不可能なことが、最新機種のスーパーファミコンなら実現できるのではないか、と胸をときめかせていたのです。
PCエンジンに移植されたナムコのアーケードゲームは再現度が高かったですからね。期待が膨らむのも当然のことでした。
スーパーファミコン本体の発売から1ヶ月後の、1990年12月21日に発売された『ファイナルファイト』。本作はカプコンのスーパーファミコン参入第1弾ソフトです。
ベルトスクロールアクションの代名詞と言うべき『ファイナルファイト』を家で好きなときに遊べるなんて、感謝感激雨あられ――そう思ったのもつかの間、プレイアブルキャラクターから忍者のガイが削除されていることを知ります。「
がーんだな……出鼻をくじかれた」
AC版『ファイナルファイト』は、コーディー、ガイ、ハガーという能力が異なる3人のキャラクターを自由に選択できるところがウリでした。パンチは強いが動きは遅いハガー、パンチは弱いが動きは速いガイ、その中間の能力を持つコーディーと、非常にバランスが良いゲームだったのです。それなのに、容量が足りないからといって、安易にガイを削るとは……マジで……カプコン絶対に許さん……
さらにSFC版『ファイナルファイト』は「2人同時プレイも不可」という現実を突きつけられ、スーパーファミコンの性能に疑問を抱くようになりました。ロレントがボスとして登場するAC版のステージ4も丸々省略(全6ステージから全5ステージに縮小)。ガイの削除だけでも辛いのに、他にもいろいろとカットされていて酷い(笑)。
1993年5月に発売された『ファイナルファイト2』(SFC)は、プレイアブルキャラクターが3人で、2人同時プレイも可能です。初代『ファイナルファイト』は、ロムカセットの進化を待って移植するのが賢明だったのかもしれませんね。
ちなみに、「ガイを出せ」というユーザーの意見が多かったのか、1992年3月にガイを操作できるマイナーチェンジ版の『ファイナルファイト・ガイ』(SFC)が発売されました。しかしこの作品では、ガイが復帰した代わりにコーディーが削除されています。
――「違う、そうじゃない。ファンが望んでいたのは、コーディー、ガイ、ハガーの3人が揃った『ファイナルファイト』なんだよ。3人のうち誰が欠けても『ファイナルファイト』は成立しないんだ。カプコンはどうしてこうも無神経なのか……」
Perfumeからあ~ちゃん、かしゆか、のっちの誰か1人でも脱退したら、それはもうPerfumeじゃないんですよ。すっぱりと解散した方がマシですよ。つまりはそういうことです。
■ メトロシティの地下鉄には樽が置いてある ゲームの舞台は、マイク・ハガーが市長を務める超犯罪都市のメトロシティ。メトロシティを拠点とする犯罪組織「マッドギア」は、ハガーの娘ジェシカを誘拐し、ハガー市長を脅迫します。怒り狂ったハガーは、ジェシカの恋人であるコーディー、コーディーのトレーニング仲間のガイと協力して、マッドギアを殲滅することにしました。
SFC版『ファイナルファイト』は、コーディー&ハガーか、ガイ&ハガーの2つのバージョンしかありませんが、とりあえず3人のキャラクターの概要を書いてみましょう。
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コーディー マーシャルアーツの達人で喧嘩のプロ。ジェシカと結婚していれば、ハガーの娘婿になるはずだった。しかしこの後に傷害罪で逮捕され、結局ジェシカとは別れてしまう。羽賀研二タイプの稀代のワル。
刑務所から脱獄してはストリートファイトに興じるすさんだ生活を送っていたが、格闘ゲーム『ストリートファイターV』では、ハガーの後釜として市長の座に就いている。「ムショ帰りの人間が市長になれるわけないだろw カプコンいい加減にしろ!」と思ったが、メトロシティの市長にはこういう人物が適任なのかもしれない。
ファイト前に「デスクワークは性に合わなくてね」とつぶやいているように、おおよそ真面目な生活とは無縁の性格。再び傷害事件を起こして刑務所に逆戻りするのは時間の問題と思われる。
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ガイ 武神流忍術の伝承者。3人のなかで最も動きが速い。パンチはやや軽いものの、意外とリーチが長くてスキが少ない。初心者にオススメのキャラクターである。
名前のガイは、漢字では「凱」と書く。訓読みで「とき」とか「やす」とか「よし」と読むこともできるが、おそらく初対面の人は正しく読んでくれないだろう。老婆心ながら男の子に「凱亜(ガイア)」なんてキラキラネームを付けるのは止めるべきだと思う。それは女神の名前だからね……
ガイは生粋の日本人のはずだが、ゲームでは「アメリカ出身」と表記されることもある。現在、日本国籍なのかアメリカ国籍なのかよく分からない。某国会議員のような二重国籍者の可能性あり。さすが忍者きたない。
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ハガー アーノルド・シュワルツェネッガーのような肉体派政治家。右方向(→)を向いているときはズボンのベルトを右肩に、左方向(←)を向いているときは左肩に素早く掛け替える変態。警官のエディもマッドギアの幹部であることから分かるように、周囲は敵だらけで警察すら信用できない危機的状況に陥っていた。
コーディーとガイは格闘ゲームの『ストリートファイター』シリーズに登場しているが、ハガーはこれまで一度も参戦していない。理由については、ザンギエフとキャラが被っているからという説が有力。しかしハガーとザンギエフって、言うほど似ているだろうか?
ガイ不在に不満を抱きつつも、『ファイナルファイト』を楽しもうとプレイを開始した私は、ある事実に気づき驚愕しました。なんと
コンティニュー回数に制限があるのです(たったの3回だけ)。そしてAC版のような「その場復活」ではなく、ステージの最初に戻される「戻り復活」を採用しています。「簡単にクリアさせてたまるか!」というカプコンの意思をビンビンと感じました。
その結果、ステージ4のボス・アビゲイルを攻略できなかった私は憤死しました。――「この茹でだこ強すぎやろ。何回やっても突破できないんだが」 (´;Д;`)
