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モアイくん (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーコナミ
・ジャンルパズル
・発売日1990年3月9日
・価格4,800円



■ プチモアイの「プッチー」たちを、救い出せ!
 『グラディウス』や『沙羅曼蛇』など、1980年代のコナミ作品に敵キャラやオブジェとしてたびたび登場していたモアイ。コナミのマスコットキャラクターといえばモアイ、過去にはそういう時代がありました。コナミゲームのBGM作曲を担当していた佐々木嘉則氏がモアイのような風貌をしていたことから、モアイをゲームキャラクターとして出すようになったそうです。どれだけモアイに似ていたのか、佐々木氏の当時の顔写真を見てみたいですね。

 みなさんご承知のように、コナミのモアイの元ネタは、チリ領イースター島にある人面石像です。イースター島の住民たちがなぜモアイ像を作ったのか、その目的は現在でも完全に解明されてはいません。Wikipediaには複数の仮説が書かれていますが、私は祖先崇拝のために建てられたという仮説を聞いたことがあります。

 最大の謎は、モアイ像を石切場からどうやって海岸近くの設置場所まで運んだのか、という点です。YouTubeでは、立たせたモアイ像に三本のロープを引っかけて、大勢の人間の力でバランスを取りながら運んでいる検証動画を見ることができます。しかしこの実験で使用されたのは現代の頑丈なロープです。モアイ像が作られた中世時代、それも絶海の孤島のイースター島にはそんな優秀な道具は存在しなかったはずです。もしタイムマシンがあればタイムトラベルしてみたいスポットの一つですね。

 本作はモアイの「モアイくん」を主人公にしたアクションパズルゲームです。1988年1月に発売された『コナミワイワイワールド』では、「モアイ・アレキサンドリア」という名前のモアイがプレイアブルキャラクターになっていましたが、ついにゲームの主人公に出世しました(拍手)。本作のモアイくんはモアイ族の勇者という設定です。

 ゲームのルールは至ってシンプル。一画面で構成されたステージ内にいるプッチー(モアイ族の子供)をすべて救助(回収)して、扉がある場所にたどり着くとステージクリアです。全56ステージと、ボリュームはまあまあ。画面の右端と左端はつながっていて行き来することができます。昔のゲームあるあるですね。

 操作方法は、十字キーで左右に移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンで頭突きです。頭突きで敵を攻撃したり、横方向にあるブロックを破壊することができます。
 ステージにある爆弾を拾うと、Bボタン+十字キーの下で爆弾を設置できます。爆弾は足元のブロックを爆破するときに使います。爆弾はステージ内使い切りで、次のステージに持ち越すことはできません。

ステージ1      ステージ2

■ 「笑点」と「吉本新喜劇」のテーマ曲
 モアイくんのジャンプ力は低く、1マス離れた1マス高い場所までしかジャンプが届きません。最初のステージ1の構造(上左画面参照)が、モアイくんの基礎能力とこのゲームのルールを物語っています。2マス分の高さがある場所に行きたいときは、丸い岩を押して移動させ、足場を作る必要があります。どことなく『フラッピー』と『バベルの塔』の影響を感じるパズルゲームです。

 プッチーたちをすべて救助してから扉に行くことがクリア条件ですから、最後に扉に行けるようにモアイくんが進むルートを考えなければなりません。何も考えず適当にブロックを破壊したり岩を下に落としたりすると、クリア不可能になって詰みます。詰んだ場合はセレクトボタンで「自滅」します。

 序盤のステージは簡単にクリアできますが、中盤以降になるとステージの構造が複雑になり、難易度が上昇します。手順は分かったとしてもモアイくんを攻撃する敵キャラがいるため、タイミングが少し狂うとミスになる場合が出てきます。
 敵キャラは頭突きで排除できますが、一定時間が経過すると同じ場所に復活します。時間制限もあって、ゆっくりと考えさせてくれないんですよ、このパズルゲームは。自力で全ステージをクリアした人は「えらいっ」と思います。

 『モアイくん』を語る上で欠かせないことといえば、このゲームに使用されているBGM。奇数ステージは「笑点」のテーマ曲、偶数ステージは「吉本新喜劇」のテーマ曲が流れます。理由は不明です(笑)。このゲームのプロデューサーはお笑い番組が好きだったのでしょうか。
 権利関係にうるさいコナミが勝手にテレビ番組の曲を使うはずはないので、もちろんJASRACの許可を得て使用していますよ~、……よね? まあ、既存の曲を使うのはいいとして、ラスボスのスカルキングがいる最終ステージくらいはコナミオリジナルのBGMにすべきだったのではないでしょうか。ここでも「吉本新喜劇」のテーマ曲が流れるので脱力しました(笑)。

 なお、このゲームにはステージセレクトの裏技が存在します。タイトル画面でセレクトボタンと十字キーの下を押しながらスタートボタンを押すと、ステージ選択画面に切り替わります。途中のステージからゲームを再開したいときは、この便利な裏技を使いましょう!

ステージ3      ステージ4

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星のカービィ 夢の泉の物語 (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカー任天堂
・ジャンルアクション
・発売日1993年3月23日
・価格6,500円



■ カラーになった『星のカービィ』の世界
 前作『星のカービィ』(GB)から1年弱の短期開発で発売された、シリーズ第2弾ソフトの『星のカービィ 夢の泉の物語』(FC)。『星のカービィ』のように、最初の作品がゲームボーイ用ソフトで、次作から新しいプラットフォームに活躍の場を広げていったシリーズは珍しいです。
 ゲームボーイ用ソフトはファミコン用ソフトからの移植作品または外伝作品がほとんどで、潜在力を感じるソフトは多くありませんでした。『星のカービィ』、『スーパーロボット大戦』、『聖剣伝説』などは例外中の例外と言えるでしょう。私は『星のカービィ』が後に大人気シリーズになるとは、不覚にも予想していませんでした。

 さてさてファミコン用ソフトになったことで最も目を引く点は、もちろんカラー化されたグラフィックです。『夢の泉の物語』のグラフィックは淡い色彩が際立っていて美しいですよね。カービィたちが住む幻想的な“おとぎの国”の世界を見事に表現しています。3色×4パレット=12色の制限があるなかで、ここまで柔らかい色調の背景を描くとは驚きです。
 各ステージごとに背景の雰囲気がガラッと変わるのも地味に凄いというか、「背景の使い回しは絶対にしないぞ!」という開発スタッフの意気込みを感じました。ファミコン末期に発売されたソフトだけあって、技術は最高レベル。ファミコン初期に発売された『ドンキーコング』と比較すると、同じゲーム機のソフトとは思えないほどの出来映えです。

 敵キャラを吸い込んで敵キャラの能力をコピーするという『星のカービィ』シリーズの基本システムは、『夢の泉の物語』から導入されました。本格的にシリーズが始動したのは本作からです。
 カービィが使えるコピー能力は20種類以上。『ロックマン』シリーズの武器の数(基本8種類)よりも種類が豊富です。初心者は効率的なコピー能力を考える前に、まずはコピー能力そのものを楽しみましょう。能力をコピーできる敵キャラは次々と出てくるので、あれこれと能力を変えながらゲームを進めることができます。

 ステージ数は全39ステージと、前作の全5ステージ(2周目のエクストラモードを含めると全10ステージ)からの大増量。ファミリーパックのお菓子を買ったときのような、満腹感を期待できる気分になりますね。
 真のラスボス・ナイトメアと戦う最終ステージは、シューティングゲーム風の高速バトル。それまでの牧歌的なムードとは打って変わって、緊張感にあふれた戦いが楽しめます。ここをクリアすれば感動のエンディングが待っていますよ!

ゲームスタート      中ボス戦

■ カービィのピンク色には意味がある!?
 『星のカービィ 夢の泉の物語』のカセットの色は、カービィの体の色と同じピンクです。ピンク色のファミコンカセットはあまり多くなく、本作を含めて二十数本しかありません。
 『エスパ冒険隊』、『ロマンシア』、『パーマン2』のカセットのように、ピンク色なのかオレンジ色なのか判別が難しいソフトを除くと、以下のようなソフトがピンク色のカセットに分類できます。

 『バイナリィランド』、『ぺんぎんくんウォーズ』、『バナナ』、『アテナ』、『エアロビスタジオ』、『高橋名人のBUGってハニー』、『スーパースタープロレスリング』、『I LOVE ソフトボール』、『もっともあぶない刑事』、『ぱられるワールド』、『まじゃべんじゃー 麻雀戦記』、『ジャンピン・キッド』、『高橋名人の冒険島II』、『ココロン』、『リトルマーメイド』、『アスミッくんランド』、『スーパーマリオUSA』、『スーパー桃太郎電鉄』、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』、『星のカービィ 夢の泉の物語』、『愛先生のO・SHI・E・TEわたしの星』、『なかよしといっしょ』(発売日順)

 う~ん……、ピンク色のカセットには何か重要な共通点があると考えてタイトルを列挙してみましたが、思惑が外れましたね。ここから論考を展開していくつもりでしたが、失敗しました(笑)。
 『もっともあぶない刑事』のカセットがピンク色であるのは謎です。「柴田恭兵=セクシー大下」が出演しているのが理由でしょうか?

 『アテナ』や『ミンキーモモ』や『なかよしといっしょ』のカセットがピンク色である理由は、だいたい分かりますよね。女の子が主役としてゲームに登場するからです。
 我が国においては、ピンクは「エッチな色」として認識されています。ピンクは日本では「女の子が好きな色」、「女の子をイメージする色」です。つまり「ピンク=エロ」ではなく、「ピンク=女の子→エロ」という図式が正確です。ピンク色がエロを喚起するというのは、実は男性本位の考え方なのです。あー、情けない。
 カービィの体の色をピンクにしたのは、おそらく女の子のウケを狙って決めたと推測されます。

 ちなみに、エロを連想させる色は国・地域によって異なり、アメリカでは「青色」、中国では「黄色」、スペインでは「緑色」であるそうです。
 「青色」? 気持ちが落ち着く色じゃないですか。アメリカ人は感覚がおかしい。
 「黄色」? 自然界では危険色じゃないですか。中国人は感覚がおかしい。
 「緑色」? ハルクやナメック星人を見ると欲情するのでしょうか。スペイン人は感覚がおかしい。

 ――ピンク色を世界共通のエロい色に統一したい(緊急提言)。

敵だらけ      ボス戦

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ギャラガ (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーナムコ
・ジャンルシューティング
・発売日1985年2月15日
・価格4,500円



■ 『ギャラクシアン』にパワーアップ要素を追加!
 『スペースインベーダー』をより遊びやすく改良することで大成功を収めた『ギャラクシアン』。その『ギャラクシアン』の続編として発売されたシューティングゲームが、今回レビューする『ギャラガ』です。アーケード版『ギャラガ』がゲームセンターに登場したのは、1981年9月のことでした。

 タイトルの「ギャラガ」は、「ギャラクシー」と「蛾」を組み合わせた造語であるそうです。ギャラガの敵キャラのデザインは、蛾をモチーフにしています。つまり敵キャラの総称が「ギャラガ」であり、プレイヤー側を意味していた「ギャラクシアン」とは正反対の意味になっています。「ギャラクシアン」が人類で、「ギャラガ」がエイリアン……う~ん、非常に紛らわしい。

 最初の作品がヒットすると続編が作られるのは、ゲームの世界も映画の世界も同じです。しかしながら、続編が必ずしも初代を超えてくるとは限りません。
 ゲームの場合だと、『ドラゴンクエストII』、『天外魔境II』、『MOTHER 2』などは成功した続編に該当すると思いますが、『ドラゴンバスターII』や『俺の屍を越えてゆけ2』のようにファンの期待を裏切った作品もあります。

 映画の場合だと、『エイリアン2』とか『ターミネーター2』は、前作の素材を活かして質・量ともにレベルアップしていましたよね。ジェームズ・キャメロンは優秀な監督だと思います。
 失敗した映画の続編でよく例に挙がる作品は、『スピード2』、『マスク2』、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(ジュラシック・パーク2)』などです。『エイリアン3』や『ターミネーター3』のように、3作目でクソ化する映画もあるので、連続で前作を超えるのはかなり難しいのでしょう。

 さて、『ギャラガ』について話を戻しましょう。『ギャラガ』は『ギャラクシアン』を正統進化させた作品です。『ギャラガ』には『ギャラクシアン』にはなかった、自機(ファイター)のパワーアップ要素が追加されました。
 上部に4体いるボスキャラは、こちらに飛来してきた時に「トラクタービーム」を発射する場合があります。トラクタービームに巻き込まれるとファイターは捕獲されてしまいます(下右画面参照)。そしてファイターを付けたボスキャラを撃ち落としてこれを救出すると、2機のファイターが横に連結して「デュアルファイター」に変化します。この状態になると、2発の弾を同時に発射することができます。

 しかし、2機のファイターともに当たり判定があるため、敵の攻撃を喰らいやすくなるという欠点があります。『ギャラガ』のパワーアップ方式には一長一短があり、早くゲームオーバーにさせる罠のような側面も感じました。

ゲームスタート      キャプチャー

■ デュアルファイターで撃ちまくりだ!
 『ギャラガ』は通常ステージを3面クリアするとボーナスステージが始まり、再び通常ステージに戻ります。4面ごとにボーナスステージが繰り返す構造になっています。
 ボーナスステージでは8体の敵の編隊が5回通り過ぎるので、編隊が画面から消える前になるべく多くの敵キャラを撃ち落としましょう。ボーナスステージのみに登場する敵キャラもいます。8体×5回=40体すべての敵キャラを撃ち落とすと、パーフェクトボーナスの10000点を獲得できます。パーフェクトはデュアルファイター状態のときが達成しやすいです。

 スコアが30000点に到達すると自機の数が1UPして、以後スコアが70000点増えるたびに1UPします。残機数は画面右側中央に表示されます。残機数が5つまではファイターマークが増えていき、残機数が6つになると、5つのファイターマークの横に数字の6が表示されます。
 残機数が99を超えると数字が0になりますが、これはきちんと100機と認識されています。以後、残機数は101機、102機と増えています。

 スコアは999999点まで表示され、これを超えると0点に戻ります。その代わりに、数字の下にカンストした印である小さなファイターマークが付きます。カンスト6回までは小さなファイターマークが増えていき、7回目のカンストで「HERO 7」と表示が変わります。
 8回目のカンストで「HERO 8」、9回目のカンストで「HERO 9」、10回目のカンストで「HERO A」、11回目のカンストで「HERO B」となります。

 ステージをクリアすると、画面右下にエンブレムが増えていきます。ステージ5クリアでSエンブレム1個、ステージ10クリアで青エンブレム1個、ステージ20クリアで赤エンブレム1個、ステージ30クリアでイーグルエンブレム1個、ステージ50クリアでVエンブレム1個が表示されます。

 ステージ199まではエンブレムの組み合わせで表示されますが(たとえばステージ190はVエンブレム3個+イーグルエンブレム1個+青エンブレム1個)、ステージ200になると突然「STAGE 200」と赤い文字に変わります。
 アーケード版と同じように、STAGE 255で終了かな?と思いきや、STAGE 999まで表示され、これを超えるとSTAGE 000になります。STAGE 000=ステージ1000、STAGE 001=ステージ1001です。これ以降、ステージ数の表示は999でループするのでしょう。まあ、ここまで延々とプレイする人間はいないと思いますが(笑)。

デュアルファイター      パーフェクト

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ギャラクシアン (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーナムコ
・ジャンルシューティング
・発売日1984年9月7日
・価格4,500円



■ 『スペースインベーダー』に引導を渡した傑作
 ナムコが初めて自社開発したアーケードゲームは、ブロック崩しとピンボールを組み合わせた『ジービー(Gee Bee)』(1978年)という作品でした。その1年後、ナムコは『スペースインベーダー』を大きく改良した、『スペースインベーダー』の完全上位互換と言えるシューティングゲーム『ギャラクシアン』(1979年)を発売します。

 『ギャラクシアン』が登場する少し前の時点で、「インベーダーブーム」は終焉を迎えていたのですが、『スペースインベーダー』を文字通り強制終了させたゲームが、この『ギャラクシアン』でした。ゲーム性が向上した『ギャラクシアン』を一度でも体験してしまうと、『スペースインベーダー』に戻ることはもはや不可能です。
 電球が発明されてからガス灯が急速に廃れていったように、『スペースインベーダー』の筐体はゲームセンターから姿を消していきました。ゲームセンターの片隅に、“記念品”として置かれた1台を除いて。

 『ギャラクシアン』とその翌年に発売された『パックマン』の大成功によって、ナムコはゲーム業界でトップランナーの地位に躍り出ました。ナムコ黄金期の到来です。
 『スペースインベーダー』の改良版が『ギャラクシアン』であり、『ヘッドオン』の改良版が『パックマン』であるため、ナムコがビデオゲームの先駆者とは言い難い面もあります。しかしナムコはアレンジの仕方が抜群に上手かったのです。そのセンスは他のゲーム会社を完全に凌駕していました。

 『スペースインベーダー』と『ギャラクシアン』の決定的な違いは、すばり敵キャラの動きです。『スペースインベーダー』の場合、列になった敵キャラが一段ずつ降りてくるだけでしたが、『ギャラクシアン』では敵キャラ1体1体が個別に動き、こちらを翻弄するようなカーブを描いて飛来してきます。また2~3体の編隊を組んで自キャラに攻撃を仕掛ける敵キャラもいて、プレイヤーにほどよい刺激と緊張感を与えてくれます。

 敵キャラの滑らかな動きは、「スプライト」と呼ばれる新しいグラフィック技術を用いることで可能になりました。アニメーションにおける「セル画」に相当するものがスプライトで、この手法をゲームにいち早く導入したのが『ギャラクシアン』でした。ファミコンのアクションゲームのキャラクターが滑らかに動くのも、このスプライト機能のおかげです。

ゲーム序盤      敵が襲来

■ 裏技で隠しミュージックが聴ける!
 ファミコン版『ギャラクシアン』は、ファミコン初期の1984年9月に発売。ナムコのファミコン参入第1弾ソフトが『ギャラクシアン』です。同じ1984年に、ナムコはアーケードのヒット作品であった『パックマン』、『ゼビウス』、『マッピー』を次々とファミコンに移植しています。これがファミコン人気を加速させた最大の要因でした。任天堂が発売するソフトだけでは、ファミコンの寿命は3~4年で尽きていたかもしれませんね。

 『ギャラクシアン』の敵キャラ「エイリアン」は、昆虫をモチーフにしてデザインされています。『スペースインベーダー』の敵キャラ「インベーダー」は、海の生物をモチーフにしていましたから、違いを出そうとしたのでしょう。
 緑色の「グリーンエイリアン」が下っ端のソルジャーで、紫色の「バイオレットエイリアン」が中間管理職。赤色の「レッドエイリアン」が幹部クラスで、旗艦の「イエローエイリアン」が取締役です。

 エイリアンを迎え撃つ戦闘機の名称は「ギャラクシップ」。タイトルの「ギャラクシアン」はエイリアンの総称ではなく、プレイヤー側を指す言葉です。『パックマン』のボーナスフルーツに「イエローエイリアン」が登場し、それが一般的に「ギャラクシアン」と呼ばれていたため、誤解が生じたようです。
 ちなみに、「ギャラクシアン」の次のボーナスフルーツは「ベル」ですが、「かき氷」と見間違えた人が多かったです。まあ、「ベル」にせよ、「かき氷」にせよ、“フルーツ”じゃないですけど(笑)。

 エイリアンは上で待機しているときに撃墜した場合と、飛来してきたときに撃墜した場合では得点が異なります。得点が高くなるのはもちろん後者です。
 イエローエイリアンがレッドエイリアンを2体連れて飛来してきたときは、得点アップのチャンス。イエローエイリアンを先に撃つと300点、レッドエイリアン2体→イエローエイリアンの順に連続撃破すると800点になります。

 画面右上の赤いフラッグはステージ数を表しています。フラッグが1本だとステージ1。ステージ5まではフラッグが1本ずつ増えていき、ステージ6になるとフラッグの横に数字の6が表示されます。
 数字は99までカウントされ、ステージ100になるとリセットされて、表示がステージ1に戻ります。このゲームは5000点到達時に残機が1機増えるだけで、それ以降のエクステンドはありません。無敵チートなしに、どれだけの人がステージ99まで行けるというのか……。

ミス      ゲームオーバー

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ドクターマリオ (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカー任天堂
・ジャンルパズル
・発売日1990年7月27日
・価格4,900円



■ 「効き目」にこだわるあなたに。
 タイトーが『スペースインベーダー』で大ヒットを飛ばしたとき、他の大小様々なゲーム会社はタイトーに遅れまいと、『スペースインベーダー』を模倣した亜流ゲームを次々と世に送り出しました。
 任天堂も例外ではなく、『スペースインベーダー』をもろにパクったアーケードゲーム『スペースフィーバー』を発売。パクリ作品ではあるものの、これでいくらか“小銭”を稼ぐことができたようです。キャラクターをデザインしたのは若き日の宮本茂氏でした。

 落ち物パズルゲームの元祖である『テトリス』が日本で発売されたときも、これと同じような展開になりました。上から降ってくる物体を移動または回転させ、適切な場所に落とす、という『テトリス』の基本システムを用いた落ち物パズルが、『テトリス』の登場以降、毎年のようにリリースされたのです。
 任天堂の『ドクターマリオ』、セガの『コラムス』、コンパイルの『ぷよぷよ』、コナミの『対戦ぱずるだま』などがその代表格です。このうち、現在でも新作が発売されている作品は、『ドクターマリオ』と『ぷよぷよ』の2本です。『テトリス』フォロワーのゲームは、この2作品しか生き残らなかった、と言い換えることもできますね。

 故・横井軍平氏の代表作である『ドクターマリオ』は、1990年7月にファミコン版とゲームボーイ版が同時発売されました。ゲームボーイ版『テトリス』の発売は1989年6月でしたから、1年あまりで『テトリス』を応用したゲームを作ったことになります。『テトリス』を触った横井氏の頭脳に、何か閃いたものがあったのでしょう。

 ちなみに、『テトリス』の原作者であるアレクセイ・パジトノフ氏も、『テトリス』以外のパズルゲームを考案していました。ブロックを帽子に変えた『ハットリス』や、チェスの駒をモチーフにした『ナイトムーブ』などです。『ハットリス』はファミコン版が、『ナイトムーブ』はディスクシステム版があります。
 しかし『ハットリス』は『テトリス』の二番煎じにもならないつまらない作品で、『ナイトムーブ』はこれまた微妙すぎる、毒にも薬にもならないパズルゲームでした。

 パジトノフ氏はあれこれと別のゲームを作ってはいますが、『テトリス』のような有名作品は1つも生み出せていません。ゲームクリエイターとしては究極の一発屋(One-hit wonder)です。歌手にたとえるなら、「愛は勝つ」のKAN、「Take On Me」のa-haのような存在です。ただ、その一発が超新星爆発並の特大花火なんだよなぁ~。

設定画面      ゲームスタート

■ ♪僕らはいつも以心伝心♪
 『ドクターマリオ』のゲームシステムは至って簡単。上から落下する6種類のカプセルを操作し、縦または横にウィルスと同じ色を4つ以上並べると、カプセルと接触しているウィルスは消滅します。これを繰り返して、ビンの中のウィルスをすべて消すと1面クリアになります。ね、簡単でしょう?
 消えずに余ったカプセルはそのまま落下。落下したカプセルがウィルスに接触すると、状況次第で連鎖が発生します。カプセルは動くが、ウィルスは固定されたまま動かない――ここが『ドクターマリオ』のポイントですね。

 ウィルスの色は赤・青・黄の三色、カプセルの色もそれに対応して赤・青・黄の三色です。カプセルは2つのブロックがつながった形をしていて、「赤赤」「青青」「黄黄」「赤青」「青赤」「赤黄」「黄赤」「青黄」「黄青」の9パターンがあります。「赤青」と「青赤」、「赤黄」と「黄赤」、「青黄」と「黄青」は回転させると色の組み合わせは同じであるため、カプセルは6種類ということになります。

 なぜウィルスを色の三原色である赤・青・黄で表現しているのか、という点については――うん、まあ、その、何かを暗示しているのかも。
 ゲームボーイ版は画面がモノクロということで、ウィルスとカプセルを黒・白・灰の三色で表現しています。色の識別についてはゲームボーイ版も全く問題ないです。

 私はどちらかと言えば、ゲームボーイ版『ドクターマリオ』を好んでプレイしていました。テレビ画面でプレイするファミコン版よりも、お手軽で遊びやすいことが理由でした。ソフトの値段もゲームボーイ版の方が安かったですしね。
 ゲームボーイ版『ドクターマリオ』はビンの高さがファミコン版よりも1段低く、最高難易度のレベル20がファミコン版よりも難しくなっています。上の隙間が2段分しかないんですよ。スタート直後に少しでもミスをすると、カプセルが天井まで積み上がってゲームオーバー。スピードが「HI」だと、まさに「運ゲー」になります(笑)。

 『ドクターマリオ』は縦のラインだけに気を取られている間は素人、横のラインも上手く消せるようになれば一人前です。安直に縦にカプセルを積み重ねるよりも、横にカプセルを積み重ねた方が、連鎖消しの可能性が増えます。『ぷよぷよ』のように連鎖が続くと実に気持ちいい。今でもプレイすると面白い、中毒性のあるゲームだと思います。

あと少し      エンディング

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アテナ (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーSNK
・ジャンルアクション
・発売日1987年6月5日
・価格5,500円



■ ビキニアーマー、もとい単なるビキニ
 ゲームの主人公を露出度の高い女の子にした、いわゆる「ギャルゲー」要素たっぷりのアクションゲーム『アテナ』。本作は1986年に発売されたアーケードゲーム『アテナ』のファミコン移植作品です。ファミコン版の開発元はマイクロニクス。
 このソフトには、続編『サイコソルジャー』の主題歌を収録したカセットテープが付属していました。パッケージの箱は大型サイズで、ど派手なピンク色。表面にはビキニ姿のアテナの全体像が描かれていました。「エロかわ」をウリにするのはいいとしても、これはやり過ぎでしょうw お店で買うのが恥ずかしいじゃないですか。

 SNKの看板キャラである麻宮アテナのご先祖が、このゲームに登場するアテナ姫という設定です。ギャルゲーの元祖とされるPCソフトの『夢幻戦士ヴァリス』も1986年の発売でしたが、アーケード版『アテナ』は『夢幻戦士ヴァリス』の半年前に発売されています。時系列的にはこちらが真の元祖になるのかな?
 赤いビキニ姿で戦うアテナを見たときは、「そういうのもあるのか」とゲームの世界観が広がった感じがしました。コロンブスの卵並みの発想力です。ヒゲ親父や戦闘機だけがゲームの操作キャラではなかったのです!

 プレイヤーは主人公アテナを操作して、たくさんのモンスターが出現するアクションステージを攻略していきます。Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃と、オーソドックスな操作方法ですが、ジャンプの仕様は独特で、Aボタン連続押しによって小ジャンプから大ジャンプに変化します。
 ステージ構成は、第7ステージの「迷宮の世界」を除いてアーケード版とほぼ同じ。ボスキャラの姿・形もアーケード版を忠実に再現しています。全体的なグラフィックは綺麗で、ぱっと見の印象は悪くありません。

 アーケード版『アテナ』では、ゲーム開始直後の落下シーンで、赤いドレスがぽろっと脱げてしまうユーモラスな演出がありました。しかし残念ながら、ファミコン版ではその演出を省略。ここが『アテナ』の一押しポイントなんですけどね~。まあ、家庭用ゲーム機のソフトだから、仕方がないと言えば仕方がない。
 ただ、幻想界へ通じる扉を開け閉めする演出までも省略したのは如何なものかと。次のステージに行く小部屋が何もない小部屋になっていて、説明不足だと感じました。

ステージ1      ステージ1のボス

■ 武器には露骨な優劣あり
 スタート時点のアテナは武器を何も持っていません。この状態でBボタンを押すとキック攻撃をします。着ている服もビキニだけという貧弱な装備です。豚タイプのザコモンスター・ボアを倒すと棍棒やハンマーなど破壊系の武器をドロップ。まずはそれを拾って使いましょう。使い勝手はイマイチですが、破壊系の武器はいちばん弱い棍棒でもブロックを破壊することができます。

 武器の形態は、この他に剣、弓、魔法の杖があり、それぞれ強さが異なる3つの武器があります。破壊系なら棍棒<ハンマー<鉄球棒の順に、剣系ならブルーソード<イエローソード<レッドソードの順に攻撃力が高くなります。
 最も重要な武器は、剣先からビームを発射する最強の剣「レッドソード」です。基本的にはこのレッドソードを保持したまま、ゲームを進めるのが最善です。

 特定の場所のブロックを壊すと、中から防具系のアイテムが出現します。防具には鎧、兜、盾の3種類があり、取るとアテナの防御力が上がります。防具は緑色<青色<黄色の順に強くなります。
 兜を取ると、頭突きによってもブロックを破壊することができるようになります。少なくとも兜だけは敵から壊されないように注意しましょう。

 武器の交換や防具の脱着のシステムは、カプコンの『魔界村』から影響を受けたと思われます。しかし鎧を着てしまうと、せっかくのビキニが隠れてしまうという欠点があります。肩パットや髪飾りなど、ビキニ姿が変化しないタイプの防具があれば良かったのに、と思いました。

 移植の出来は、正直なところあまり良くありません。アテナの動きはカクカクとしていて、スプライト欠けも激しいです。敵の攻撃を避けにくく、すぐに死んでしまいます。
 アーケード版『アテナ』も簡単にクリアできるような難易度ではなく、初心者だとステージ1突破も厳しいアクションゲームでしたが、アテナ自体はもっとキビキビと動かすことができました。ファミコン版『アテナ』は操作性の面で再現度が低いです。

 ザコモンスターがゴミ武器を頻繁にドロップするのが非常にいやらしいですね。拾いたくないのに拾ってしまう“事故”が多発します。最強のレッドソードから最弱の棍棒に変えられてしまうとガッカリですよ。
 通路が狭い場所だと、ドロップした武器が画面から消えるまで2~3秒立ち止まる必要があります。消えるのを待っていると、ザコモンスターが再び湧いて出てきます。このテンポの悪さはどうにかならなかったのか……

ステージ2      ステージ2のボス

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源平討魔伝 (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーナムコ
・ジャンルテーブル
・発売日1988年10月21日
・価格4,900円



■ 何かの手違いでボードゲーム化
 本作はアーケードゲーム『源平討魔伝』をファミコンに移植した作品です。1987年7月に発売されたコナミの『月風魔伝』は、『源平討魔伝』の類似作品でありながらかなり出来が良く、本家ナムコの動向に関心が集まっていました。ゲームファンは“魔伝対決”の行方に注目していたのです。
 しかしナムコが発売したファミコン版『源平討魔伝』は、ゲームファンの期待を大きく裏切る内容でした。パッケージには「コンピュータボードゲーム」の文字が書かれていて、ジャンルを変更したアレンジ移植であることは一目で分かりました。「ナムコはコナミと同じ土俵で戦うことから逃げちゃったのね」と落胆したことを記憶しています。

 ボードゲーム自体は別に嫌いではないんですよ。子供の頃は友人たちと「おばけ屋敷ゲーム」で遊んでいましたからね。でもボードゲームはリアルな盤やカードがある実物だからこそ楽しいんです。一応、本作には日本地図やコマなどの付属品が同梱してありましたが、友人たちが集まったときにテレビ画面でボードゲームをやるかなぁ……普通はやらないよなぁ……。

 本作は1人のソロプレイと2~4人のマルチプレイが可能です。4人プレイの場合、1コンと2コンを交互に持ち替えながら遊ぶことになります。
 参加人数を決めたら、次は名前入力画面へ。『ドラゴンクエスト』のように、ひらがな4文字まで入力可能です。「よりとも」「よしつね」「べんけい」など、敵キャラとして登場する人物の名前は、一部が伏せ字になります。「よりとも」→「○○とも」、「よしつね」→「○○つね」、「べんけい」→「○゛○けい」といった具合です。

 面白いことに「げつふう」と入力すると、これも「○゛○ふう」と伏せ字になります(下右画面参照)。『ハリー・ポッター』の「名前を言ってはいけないあの人」扱いですか(笑)。
 『月風魔伝』が発売されたとき、ナムコの人は『月風魔伝』についてどう思ったのか、そのあたりの裏話が知りたいですね。「パクりやがって」と本気で怒ったのか、それとも「しょうがないなぁ」と苦笑したのか。

 俳優の織田裕二が芸人の山本高広にものまねをされてへそを曲げたように、真似されて怒る人っていますからね。ゲイ疑惑がある人のものまねで、タイソン・ゲイの世界陸上ネタはマズかったのかもw まあ、月風魔は景清さんに一言「真似していいですか?」と確かめるべきだったよね。(´・ω・`)

 ちなみに、敵キャラだけではなくて、卑猥な言葉も伏せ字になります。思いつく限りの卑猥語や差別語を入力してみたところ、「せ●くす」と「お●んこ」の2つが伏せ字になりました。3文字の「ま●こ」だとOKという謎基準です。RTA界隈で人気の名前「ほも」も大丈夫ですよ。

大凶      フィールド画面

■ ボードゲーム=「運ゲー」は当然の話だが…
 このボードゲームの最終目標は、相模の国の「鎌倉」にいる源頼朝を倒すことです。1人プレイの場合、プレイヤーは壇ノ浦周辺の国からスタートして、各地を回りながら鎌倉を目指します
 頼朝と対決する前に、各地に散らばった「三種の神器」(草薙剣・八尺瓊勾玉・八咫鏡)を集める必要がありますが、三種の神器を持つ城主がいる国は、毎回ランダムに変化します。ゲーム冒頭で三種の神器がある国が表示されるので、付属の地図に神器のチップを置いて、目的地を確認しながらプレイしましょう。この三種の神器の初期配置が、ゲームを攻略する上で非常に重要になります。

 敵キャラとの戦闘は、『ドラゴンクエスト』型のコマンドバトル方式になっています(下右画面参照)。直接攻撃の「たたかう」や呪文攻撃の「じゅもん」を選択して敵を攻撃し、敵の体力(ロウソクの数で表示)をゼロにすると勝利します。
 アクションゲームだったアーケード版『源平討魔伝』からの大きな仕様変更です。おそらくこのことを知った時点で、本作に対する興味をなくしてしまった人がいたと思います。完全に別ゲーですからね。

 戦闘終了後は経験値の「徳」と通貨の「銭」を獲得。徳は景清のステータスUPに、銭は景清の体力回復に使います。徳を貯めただけでは景清は強くならないので、神社でレベルアップすることを忘れずに。
 景清のステータスは「剣力」「妖力」「防御力」「機敏さ」の4種類があります。どのステータスを優先して伸ばしていくかは、プレイヤーの自由です。

 さて、ただ景清を強くして敵を倒していくゲームであるなら、普通のロールプレイングゲームと変わりません。このゲームは城主を倒して自分の領地を拡大していくシミュレーション要素もあります。
 問題なのは、敵側である頼朝も国を占領していくこと。景清が国から出入りすると頼朝の領地も拡大しています。運が悪ければ“通常の3倍”のスピードで頼朝が勢力を伸ばしてしまいます。

 頼朝に取られた領地の城主は闇強化され、序盤の段階の景清では到底勝つことができなくなります。もし三種の神器を持つ城主が強くなっていたら、最悪ゲームが詰んでしまう可能性もあり得ます。スムーズに三種の神器を集めて鎌倉に行くことができるか否かは、運次第というわけです。う~ん、とても厳しい。
 普通にプレイするとクリアまで数時間はかかるゲーム内容であるのに、セーブ機能やパスワード機能はなし。ユーザーに対する配慮も『月風魔伝』に負けてしまった作品でありました。

マップ画面      戦闘画面

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月風魔伝 (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーコナミ
・ジャンルアクション
・発売日1987年7月7日
・価格4,900円



■ コナミ版『源平討魔伝』爆誕!
 ナムコの『源平討魔伝』(AC)が好きだったコナミの開発者が作った、『源平討魔伝』っぽい作風のアクションRPG、それが今回レビューする『月風魔伝(げつふうまでん)』(FC)です。タイトルはもとより、世界観や主人公の風貌などがあまりにも『源平討魔伝』に似ていたため、「これは模倣作品ではないのか?」とゲームファンの間で物議を醸したソフトでありました。

 ゲームの世界では、どこまでが“オマージュ”でどこからが“パクリ”になるのか、線引きが非常に難しいと感じます。ゲームシステム自体を真似ることがパクリに該当するのであれば、『ドクターマリオ』や『ぷよぷよ』は『テトリス』のパクリになりますし、『ゴッドイーター』や『ソウル・サクリファイス』は『モンスターハンター』のパクリになります(もっと遡れば、『モンスターハンター』は『ファンタシースターオンライン』を参考にして作られています)。そうはいうものの、本気でこれらの作品をパクリだと主張する人はほとんどいないですよね。

 もし任天堂以外のゲーム会社が、ヒゲを生やした小太りのおじさんを主人公にして、「ヤッフー」と奇声を発しながらコインを集める横スクロールのアクションゲームを作れば、それは完全にアウトでしょう。しかし主人公を美少女キャラに変えて、コインの代わりに宝石を集めるゲームにすれば、そのゲームが問題視されることはないと思います。

 おそらく一つのジャンルとして確立したゲームを参考にして同じようなゲームを作るのは許されますが、キャラクターのデザインまでもそっくりにして同じようなゲームを作るのはマズいんじゃないかと思います。
 そう考えると、『月風魔伝』はギリギリアウトな作品なんですよね(笑)。『源平討魔伝』の主人公・景清と『月風魔伝』の主人公・月風魔は、「赤毛の長髪」という最大の特徴が一致。これでは言い逃れができませんよ。スターリンと岡田眞澄が生き写しであったように、二人はよく似ています。月風魔の髪型は侍式のポニーテールにしておけば似すぎなかったのに。

 ゲームの舞台は、今からはるか未来の西暦14672年(魔暦元年)の地球。地獄界から地上界に現れた魔王・龍骨鬼によって、地上を統治する月氏三兄弟の長兄と次兄が殺され、三本の霊剣・波動剣も奪われてしまいました。一人生き残った末弟の風魔が、龍骨鬼を倒すべく地獄界を冒険するという内容です。

 『源平討魔伝』との差別化を図るためか、「中世時代の物語じゃないっスよ」と猛烈にアピールしているように見えます。月氏三兄弟は古代中国の北方を支配していた月氏がルーツでしょうか。
 月風魔が主人公のフルネームであることから、タイトルの『月風魔伝』は、「月風↓魔伝↓」と発音するのではなく、「月風魔↑伝↓」と発音するのです。こ↑こ↓重要ポイントですよ。

フィールドマップ      お婆

■ BIGモード再現にかけた秘策とは!?
 1987年7月に『月風魔伝』が発売された時点では、ファミコン版『源平討魔伝』もPCエンジン版『源平討魔伝』もまだ発売されていませんでした。「あ~、家で『源平討魔伝』をプレイしたいなぁ」と煩悶していたゲームファンは、丁度いい“代替物”である『月風魔伝』に飛びつきました。――「本物の『源平討魔伝』じゃないけど、これはこれでいい線いっているゲームだな」と評価がかなり高かったですね。さすがコナミといったところですよ。

 本作は次の3つのモードで構成されています。
フィールドマップ
 見下ろし型の全体マップ画面。迷路のように細い道がくねった構造で、『リンクの冒険』(FDS)の第四神殿がある「迷路島」を思い起こさせる。
 マップにはアクションステージに入る「鳥居」、貴重な情報を教えてくれるお婆がいる「ほこら」、アイテムを購入する「道具屋」などがある。

アクションステージ
 横スクロール型のオーソドックスなアクション面。剣を振り回しながらザコ敵を倒して出口へと進む。足場がない地点に落ちてしまうとミスになるので十分な注意が必要。出現するザコ敵はゲームが進行するにつれて強くなる。

3Dダンジョン
 『ウィザードリィ』のような疑似3Dダンジョンを進む特殊な面。画面下に月風魔の後ろ姿が描かれている。敵と遭遇すると剣戟アクションがスタートする。壁が真っ黒なので進むべき道が分かりにくく迷いやすい。マッピングによる攻略が必須であろう。

 この3つのモードは、『源平討魔伝』の「平面モード」、「横モード」、「BIGモード」に対応していると言えます。コナミの開発者は『源平討魔伝』をファミコンで再現することに拘っていたのでしょう。本来ならナムコがやるべき仕事をコナミがやった――どういうことなの、これ……
 「平面モード」は「フィールドマップ」で再現して、「横モード」は「アクションステージ」で再現するとして、問題は最後の「BIGモード」ですよ。ファミコンではスプライトの制約上、横スクロールのアクション面で巨大なキャラクターを動かすことは無理です。

 そこで考案したのが3Dダンジョンにおける月風魔の巨大化。月風魔は上半身だけの表示とはいえ、大きなキャラクターと大きなキャラクターが戦う「BIGモード」の(雰囲気的な)再現に成功しました。恐るべきコナミの執念です。「真のファミコン版『源平討魔伝』は『月風魔伝』である」と言われる理由がここにあります。

 序盤のゲームバランスはやや厳しめですが、「力」の文字を飛ばすアイテム「守り太鼓」を取ると楽になります。また、「魔性のコマ」というアイテムを取ることで、『メトロイド』の「スクリューアタック」に相当する体当たり攻撃が可能になります。じっくりと月風魔を強化すれば、ラスボス撃破も難しくないでしょう。

アクションステージ      ボス戦

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ソンソン (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカーカプコン
・ジャンルシューティング
・発売日1986年2月8日
・価格4,900円



■ 孫悟空の孫だから孫孫(ソンソン)
 カプコンが『バルガス』の次に発売した、コミカルタッチのアーケードゲーム『ソンソン』(1984年)。本作はそれをファミコンに移植した作品です。開発元はマイクロニクス。
 ジャンルは「アクションシューティング」とされていますが、6段の通路を上下に移動するという点を除けば、一般的な横スクロール型のシューティングゲームと大差はありません。コナミの『魂斗羅』がシューティングの要素があるアクションゲームだとすれば、『ソンソン』はアクションの要素があるシューティングゲームと言えるでしょう。

 本作は『西遊記』のキャラクター孫悟空の孫のソンソンと、仲間のトントン(猪八戒の孫?)が、お釈迦様がいるという天竺まで冒険する内容です。オープニング画面で三蔵法師(のような人物)と沙悟浄(のような人物)と玉龍(のような人物)は、中ボスの魔人に連れ去られてしまいます。
 いきなり2人旅となってしまったソンソンとトントン。原作の『西遊記』では犬猿の仲ならぬ豚猿の仲の2人(の孫)ですが、こうなっては協力するしかないですね。タイトル画面で「2 PLAYERS」を選択すると、1Pがソンソン、2Pがトントンを操作する2人同時プレイが可能です。

 操作方法は十字キーで上下左右に移動、AボタンまたはBボタンで弾を発射するというシンプル仕様。普段あまりゲームをしたことがない女の子でも遊べる簡単操作がウリでした。
 『ソンソン』における通路の段は、実は「階段状」になっていると考えるのが合理的です(一番上が奥、一番下が手前という構造)。そう考えないと、ソンソンたちは上下には移動できないでしょう?

 弾は左から右、右から左のどちらの方向にも発射可能です。敵キャラクターは右から左へ移動するだけではなく、左から右へ移動することもあるので、敵の動きをよく観察することが重要です。
 注意すべき点は、弾には射程距離があること。ソンソンとトントンが発射する弾は、画面の半分程度の距離しか飛びません。晩年の金本知憲選手並の弱肩です。レフトからショートに球が届かないとか、外野の守備できないだろう……常識的に考えて……。

ゲームスタート      砦

■ フライドポテトが実に美味しそう
 ステージの途中にある数字が書かれた石は、天竺までの距離を示しています。先に進むと数字が減っていき、天竺に着くと数字は「1」になります。
 スタート地点の数字は「19」。1単位=100kmとしても、天竺までは2000kmほどある計算になります。ゴールまではかなりの長丁場です。

 道中に落ちている食べ物「スモールフーズ」を取ると、10~100点が加算されます。またスモールフーズを6個取ると、大きな「ジャンボフーズ」が出現。これを取ると1000~10000点が加算されます。フライドポテト、フランクフルト、エビフライ、ケーキなど、子供が好きな食べ物ばかりです。特にフライドポテトが美味しそうに見えました。
 ジャンボフーズを8個取るか、特定の地点を通過すると、カプコン伝統のパワーアップアイテム「POW」が出現します。これを取ると画面上の敵キャラがすべてジャンボフーズのどれかに変化します。フライドポテトがザックザクだととっても嬉しい(笑)。

 ステージの要所要所には「砦」があり、そこではドクロが描かれた壁をすべて破壊するまで画面スクロールが止まります。20秒以内にドクロ壁を全部壊すと、ボーナスキャラの「弥七(やしち)」が出現。風車の形をした隠しアイテムです。
 元々は『バルガス』や『エグゼドエグゼス』で敵キャラとして登場していたものですが、『1942』ではボーナスキャラに昇格。それ以降、弥七はカプコンのレトロゲームには欠かせないキャラクターとなりました。『魔界村』や『ブラックドラゴン』などにもボーナスキャラとして出てきます。

 アーケード版『ソンソン』は「その場復活」を採用したゲームで、コインをつぎ込めば素人でもクリア可能なゲームでした。ファミコン版も同じように、ミスをした地点から復活します。
 アーケード版と比較すると、ファミコン版『ソンソン』はスプライト欠けや処理落ちが目立つものの、発売当時はまあまあ遊べるゲームという印象でした。画面上の敵キャラが増えると処理落ちの副産物によって動きが遅くなり、結果として敵の攻撃をかわしやすくなります。2人同時プレイだとさらにクリアが容易に。友人たちと盛り上がりたいときに重宝したソフトでしたよ。

魔人      お釈迦様

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スペースインベーダー (FC)

タイトル画面
・機種ファミコン
・メーカータイトー
・ジャンルシューティング
・発売日1985年4月17日
・価格4,500円



■ ムーンサルトり~みたいな~
 時は1978年、日本全土はスペースインベーダーに侵略された。二等兵のタコ、一等兵のカニ、上等兵のイカで編制されたインベーダー軍団は、喫茶店やデパートの屋上や駄菓子屋などに出没し、上から下への卑劣な“圧迫”を開始したのだ。その目的は我々の貴重な資源である白銅(100円玉)を奪うことであった。

 我らがピエロのゲームセンターいがらしは、「炎のゴマ」「ムーンサルトり」「グレートハレー彗星」といった超必殺技を繰り出すも、インベーダーに大苦戦。そこで「エレクトリックダンサー」――ではなく「電子ライター点火装置」を使い、夢の65536クレジットを実現。事なきを得た。しかしゲームセンターの入り口には、「五十嵐お断り」の看板が立てられるのであった……。
 これは『週刊ファミ通』誌上に掲載された、ゲームセンターいがらしの実録マンガである。その後、パックマン子や毛利名人が登場し、さらにハチャメチャな展開になるのだが、続きはwebのgifで。

 さて、前置きが長くなりましたが、今回レビューするソフトは、アーケードゲーム史上に燦然と輝くシューティングゲーム『スペースインベーダー』、そのファミコン版です。
 この作品の登場によって、アーケードゲームを専門に扱う「ゲームセンター」という遊戯施設が生まれたと言っても過言ではないでしょう。『スペースインベーダー』の爆発的な人気の余波で市中に出回る100円玉が足りなくなり、日本銀行が急遽100円玉を大量鋳造したという逸話は、当時のインベーダーブームの大きさを物語ります。

 しかしファミコン版『スペースインベーダー』が発売されたのは、インベーダーブームがすっかり過去の出来事となっていた1985年4月。『スペースインベーダー』の完全上位互換であるナムコの『ギャラクシアン』や『ギャラガ』、そして革新的な縦スクロール型シューティングゲーム『ゼビウス』のファミコン版がすでに発売されていました。
 ファミコン時代に小学生だった人は、インベーダーブームの頃は幼児かまだ生まれていなかったわけで、そういう世代のユーザーが『ゼビウス』をプレイした後に『スペースインベーダー』を買うかというと、う~ん、正直「イエス」とは言い難い。

 同じ画面固定型の『ギャラクシアン』と比較しても、残念ながら『スペースインベーダー』は地味に感じてしまいます。敵が上から降りてくるだけの『スペースインベーダー』と、敵が編隊を組んで飛んでくる『ギャラクシアン』では、優劣の差は歴然。マクドナルドで普通のハンバーガーとビッグマックが同じ100円だったとしたら、あなたはどちらを選ぶでしょうか? ファミコン版は発売時期が悪かったんですよ。せめて1年早く発売されていたら……。

ゲーム開始      UFO

■ ノーブラボイン撃ち~~~~っ!!
 インベーダーブームは1年ぐらいで沈静化し、1979年11月に“ポストインベーダー”の雄『ギャラクシアン』が登場したことで、『スペースインベーダー』はゲームセンターから姿を消していきました。『スペースインベーダー』の生みの親の西角友宏氏は、ナムコの『ギャラクシアン』を見て「やられた!」と思ったそうですよ。『ギャラクシアン』はスプライト方式でキャラクターを滑らかに動かしていて、『スペースインベーダー』の亜流ゲームの域を超えていましたからね。

 とはいえ、『スペースインベーダー』がビデオゲーム業界に与えたインパクトは絶大であり、その歴史的な価値を疑うことはできないでしょう。『スペースインベーダー』がなければ『ギャラクシアン』や『ギャラガ』も誕生せず、「シューティングゲーム」というジャンルが発生する時期が遅れていたのは確実です。
 私が初めて『スペースインベーダー』を見たときは、「アメリカ製のゲームかな?」と思いましたね。全体的なデザインから何となく洋ゲーっぽく見えたんですよ。タイトーは代理店か何かかなと。日本人が“発明”したことを知ったときは驚きました。

 『スペースインベーダー』は『ブロックくずし』の発展系です。ブロックをインベーダーに、パドル(バー)を砲台に変えたのです。つまりブロックが動く(上から押し潰してくる)『ブロックくずし』というわけです。
 『ブロックくずし』との決定的な違いは、敵であるインベーダーがこちらを攻撃してくること。この一工夫によって『スペースインベーダー』のゲーム性が高まり、プレイヤーはスリルを味わえるようになりました。開発段階では「敵が攻撃しないように変更しろ」と上から圧力もあったようですが、ゲームが下手な人の意見は無視して正解でしたね。

 『スペースインベーダー』の攻略方法といえば、忘れてはならないのが「名古屋撃ち」ですよ。片方のインベーダー軍団を隅のイカだけ1匹残して倒し、もう片方のインベーダー軍団を4~5列残して、最下段に降りてきたインベーダーを、砲台を素早く横移動させて連続撃破するというやり方です。
 ファミコン版『スペースインベーダー』は、インベーダーのドット絵が小さくてやりにくいものの、アーケード版と同じように名古屋撃ちの裏技が可能です。名古屋撃ちは隙間が大きく空いているので、ボーナスキャラのUFOを撃墜しやすいのもメリットですよね。

 名古屋撃ちの語源については、名古屋が発祥の地だとか、これで終わり→尾張→尾張名古屋のシャレから来ているとか、諸説ありますが、どれも確証されていない説です。もしかして、名古屋という名字の人が発見した可能性も微レ存?

UFO撃墜      ミス

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