・機種 | ファミコン |
・メーカー | 任天堂 |
・ジャンル | アクション |
・発売日 | 1993年3月23日 |
・価格 | 6,500円 |
■ カラーになった『星のカービィ』の世界 前作『星のカービィ』(GB)から1年弱の短期開発で発売された、シリーズ第2弾ソフトの『星のカービィ 夢の泉の物語』(FC)。『星のカービィ』のように、最初の作品がゲームボーイ用ソフトで、次作から新しいプラットフォームに活躍の場を広げていったシリーズは珍しいです。
ゲームボーイ用ソフトはファミコン用ソフトからの移植作品または外伝作品がほとんどで、潜在力を感じるソフトは多くありませんでした。『星のカービィ』、『スーパーロボット大戦』、『聖剣伝説』などは例外中の例外と言えるでしょう。私は『星のカービィ』が後に大人気シリーズになるとは、不覚にも予想していませんでした。
さてさてファミコン用ソフトになったことで最も目を引く点は、もちろんカラー化されたグラフィックです。『夢の泉の物語』のグラフィックは淡い色彩が際立っていて美しいですよね。カービィたちが住む幻想的な“おとぎの国”の世界を見事に表現しています。3色×4パレット=12色の制限があるなかで、ここまで柔らかい色調の背景を描くとは驚きです。
各ステージごとに背景の雰囲気がガラッと変わるのも地味に凄いというか、「背景の使い回しは絶対にしないぞ!」という開発スタッフの意気込みを感じました。ファミコン末期に発売されたソフトだけあって、技術は最高レベル。ファミコン初期に発売された『ドンキーコング』と比較すると、同じゲーム機のソフトとは思えないほどの出来映えです。
敵キャラを吸い込んで敵キャラの能力をコピーするという『星のカービィ』シリーズの基本システムは、『夢の泉の物語』から導入されました。本格的にシリーズが始動したのは本作からです。
カービィが使えるコピー能力は20種類以上。『ロックマン』シリーズの武器の数(基本8種類)よりも種類が豊富です。初心者は効率的なコピー能力を考える前に、まずはコピー能力そのものを楽しみましょう。能力をコピーできる敵キャラは次々と出てくるので、あれこれと能力を変えながらゲームを進めることができます。
ステージ数は全39ステージと、前作の全5ステージ(2周目のエクストラモードを含めると全10ステージ)からの大増量。ファミリーパックのお菓子を買ったときのような、満腹感を期待できる気分になりますね。
真のラスボス・ナイトメアと戦う最終ステージは、シューティングゲーム風の高速バトル。それまでの牧歌的なムードとは打って変わって、緊張感にあふれた戦いが楽しめます。ここをクリアすれば感動のエンディングが待っていますよ!
■ カービィのピンク色には意味がある!? 『星のカービィ 夢の泉の物語』のカセットの色は、カービィの体の色と同じ
ピンクです。ピンク色のファミコンカセットはあまり多くなく、本作を含めて二十数本しかありません。
『エスパ冒険隊』、『ロマンシア』、『パーマン2』のカセットのように、ピンク色なのかオレンジ色なのか判別が難しいソフトを除くと、以下のようなソフトがピンク色のカセットに分類できます。
『バイナリィランド』、『ぺんぎんくんウォーズ』、『バナナ』、『アテナ』、『エアロビスタジオ』、『高橋名人のBUGってハニー』、『スーパースタープロレスリング』、『I LOVE ソフトボール』、『もっともあぶない刑事』、『ぱられるワールド』、『まじゃべんじゃー 麻雀戦記』、『ジャンピン・キッド』、『高橋名人の冒険島II』、『ココロン』、『リトルマーメイド』、『アスミッくんランド』、『スーパーマリオUSA』、『スーパー桃太郎電鉄』、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』、『星のカービィ 夢の泉の物語』、『愛先生のO・SHI・E・TEわたしの星』、『なかよしといっしょ』(発売日順)
う~ん……、ピンク色のカセットには何か重要な共通点があると考えてタイトルを列挙してみましたが、思惑が外れましたね。ここから論考を展開していくつもりでしたが、失敗しました(笑)。
『もっともあぶない刑事』のカセットがピンク色であるのは謎です。「柴田恭兵=セクシー大下」が出演しているのが理由でしょうか?
『アテナ』や『ミンキーモモ』や『なかよしといっしょ』のカセットがピンク色である理由は、だいたい分かりますよね。女の子が主役としてゲームに登場するからです。
我が国においては、ピンクは「エッチな色」として認識されています。ピンクは日本では「女の子が好きな色」、「女の子をイメージする色」です。つまり「ピンク=エロ」ではなく、「ピンク=女の子→エロ」という図式が正確です。ピンク色がエロを喚起するというのは、実は男性本位の考え方なのです。あー、情けない。
カービィの体の色をピンクにしたのは、おそらく女の子のウケを狙って決めたと推測されます。
ちなみに、エロを連想させる色は国・地域によって異なり、アメリカでは「青色」、中国では「黄色」、スペインでは「緑色」であるそうです。
「青色」? 気持ちが落ち着く色じゃないですか。アメリカ人は感覚がおかしい。
「黄色」? 自然界では危険色じゃないですか。中国人は感覚がおかしい。
「緑色」? ハルクやナメック星人を見ると欲情するのでしょうか。スペイン人は感覚がおかしい。
――ピンク色を世界共通のエロい色に統一したい(緊急提言)。