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オリンピック・デザイン・マーケティング

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加島卓『オリンピック・デザイン・マーケティング エンブレム問題からオープンデザインヘ』(河出書房新社)

■ エンブレム騒動の本質を問い直す
 2015年7月24日に発表された東京オリンピックのエンブレムと、それが撤回されるまでの騒動を覚えている人は多いだろう。デザイナーの佐野研二郎氏が制作したエンブレムは、TOKYOの頭文字である「T」をモチーフにしていたが、中央の黒い縦線が目立つ異様なデザインであった。インターネット界隈では、発表直後からエンブレムに対する異論が噴出していた。
「落選した他の候補作品を見せて欲しい」
「招致運動のときに使われたエンブレムの方がきれい」
といった意見が多く、佐野氏のエンブレムを歓迎する声は少なかったと記憶している。

 選考結果についてネット民がざわついていたところ、このエンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ているという話が広まり、ロゴ制作者のオリビエ・ドビ氏はIOCにエンブレムの使用差し止めを求める動きを見せた。同じ時期に佐野氏がデザインしたサントリーの景品(トートバッグ)のイラストに盗用があることが指摘され、「パクリ」疑惑はヒートアップ。次々と燃料が投下されて大炎上となった。

 8月5日、組織委員会は佐野氏本人と記者会見を行い、オリンピックのエンブレムは「T」と「円」を組み合わせたもので、「T」と「L」を組み合わせたリエージュ劇場のロゴとは全く異なることを強調。また、エンブレムは正方形を9分割した設計であることを示したうえで、「展開力」という言葉を使いエンブレムの独自性を主張した。しかし世論は納得せず、事態が収束することはなかった。

 8月28日、審査委員代表の永井一正氏が選考過程を説明し、エンブレムは佐野氏の原案を二度修正したものであることを明かした。ベルギーでの訴訟に備えてリエージュ劇場のロゴとの違いを明確にしておこうという思惑からだったが、今度は「出来レース」の疑いが強まることになった。
 さらに佐野氏の原案が、2013年11月に開催された「ヤン・チヒョルト展」のポスターの構図と酷似していることが発覚。これでもう組織委員会は耐えきれなくなった。「パクリ」と「出来レース」という2つの醜聞にさらされたエンブレムが撤回されたのは、その4日後であった。

 本書は前半で過去のオリンピックのエンブレムと広告ビジネスとの関係を整理し、後半で撤回されたエンブレムについて「パクリかどうか?」「出来レースかどうか?」という疑惑の核心に迫っている。
 筆者は2012年ロンドン大会のエンブレムを例に挙げ、エンブレムの「作り方」と「使い方」の混乱が今回の騒動を招いた原因であると考える。作り方を重視するデザイン関係者と、使い方を重視する広告関係者の意思疎通が十分ではなかった可能性があるというのだ。社会学の手法を用い、俯瞰的な視点から問題の本質を冷静にあぶり出している。

 「パクリ」と「出来レース」の疑惑については、追究する側と追究される側の双方の立場に立ったフェアな分析をしている。したがってクロかシロかはっきりと断定しているわけではないので、週刊誌的な暴露話を期待している人は物足りないと感じるかもしれない。
 もしエンブレム選考に関わった人々の間で何らかの“忖度”が行われていたとしても、その内幕が公表されることはないだろう。これからも永遠に。

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