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この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた

表紙

ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた』(河出書房新社)

■ 失った科学技術を取り戻すことは容易ではない
 もし地球上の人間が激減して、我々が築き上げてきた科学文明が崩壊したら、生き残った人間たちはどうすればいいのだろうか? 本書は文明社会が破局した場合の対処方法を教えてくれるサバイバルガイドである。食料、衣服、医薬品など、人間が生活するうえで必要な物資を作り出すプロセスを簡単にまとめている。

 本書は何らかの理由(疫病や核戦争や小惑星の落下)によって地球の環境が激変し、大多数の人間が死亡してしまった世界を想定している。腐りにくい食料品はまだ残っている、動かせる機器類や利用できる燃料も多少はある、しかしそれらは急速に劣化していくという状況だ。

 人はいるが物資がない「マッドマックス型」の世界ではなく、物資はあるが人がいない「アイ・アム・レジェンド型」の世界を考えると分かりやすいだろう。自分以外に人がいなければ、ショッピングモールの商品を独り占めにできるじゃないか、と心躍るかもしれないが、それらの商品がどうやって製造されたのか、その道の専門家でなければ詳しいことは分からない。
 缶ジュース1本にしても一人の人間の力で完全に再現することは不可能だ。人類が数千年の間に蓄積してきた科学技術が一気に消失していく、これは想像するだけで恐ろしいことだと思う。未曾有の大災害が発生すれば、人類の叡智は無に帰してしまう可能性があるのだ。

 図書館に残った書物を漁れば、物資を作り出す「原理」を知ることはできるだろう。ただその「原理」を知ったところで、使い物になる物資を作り出すまでには相当の試行錯誤がいる。生活用品を一通り生産するためには、いったいどれだけの時間がかかるのだろうか。まずは道具がいる、その道具を作る道具がいる、その道具を作る道具を作る道具がいる……無限後退の罠に陥った私は、そのうち考えるのをやめた。

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隠される原子力・核の真実

表紙

小出裕章『隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ』(創史社)

■ 原子力発電所がもたらすものは恩恵だけではない
 著者の小出氏は京都大学原子炉実験所に勤務しながら、長年原子力利用に反対し続けてきた反原発グループの人である。福島原発の大惨事を目の当たりにして、東電の御用学者たちが安全を強調していることに違和感を持ち、本書を購入して読んでみた。小出氏は今回の事故について、発生直後からかなり悲観的な見解を述べていたので印象に残っていたからだ。

 4月12日、統一地方選挙が終わったのを見計らったかのように、原子力安全・保安院は今回の事故の暫定評価を「レベル5」からチェルノブイリ原発事故に並ぶ「レベル7」に引き上げた。4機の原子炉内部や使用済み燃料プールには大量の放射性物質が残存しており、事態は想像以上に深刻である。
 海外のメディアは危機を煽り立てるような報道をしているが、残念ながら事故を過小評価してきたのは日本政府の方であった。

 なぜ使用済み燃料プールが原子炉の上部に置かれているのか。報道で原子炉建屋の図解を見たとき、危険極まりない構造に慄然とした。爆発を伴う大事故など絶対に起きないという思考停止状態で原発を運営していたことに憤りを感じる。
 プルサーマル行った使用済み核燃料は、現状では日本で処理できない。したがって原子力発電所内に留めておくしかない。しかしその原発は地震と津波の多発地帯に建設されている。この地に原発を誘致したこと自体が、安全性と地域住民の生命を無視した暴挙ではないのか。

 原発は原料のウラン鉱石を採掘する段階から人体に有害な廃棄物を生成する。精錬、濃縮・加工、発電そして廃棄処分までに膨大な放射性物質が副産物として排出される。
 人類は放射性物質を完全に無害化する技術を持っていない。最終的に地中深く埋めるとしてもその場所さえはっきりと決まっているわけではない。「原子力発電所はエコロジーである」「原子力発電所は低コストである」、そのような電力会社のプロパガンダは、発電過程の一部分を切り取って細工したごまかしである。

 3.11以後、日本に対する海外諸国の評価は180度変わってしまった。安全で清潔な国から、危険で汚染された国へ・・・・。農産物のみならず、工業製品にまで風評被害が出始めているようだ。悲しいことに、これは夢ではないのである。
 どう見ても終わりです。本当にありがとうございました。(´・ω...:.;::.. サラサラ...

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人類の月面着陸は無かったろう論

表紙

副島隆彦『人類の月面着陸は無かったろう論』(徳間書店)
山本弘ほか『人類の月面着陸はあったんだ論―と学会レポート』(楽工社)

■ 2005年日本トンデモ本大賞受賞作品
 天下の奇書である。6年前に刊行された古い本だが、あまりにもインパクトが大きかったので、この際紹介したい。題名からしてところてんのように掴み所がない。「無かったろう」に「論」を付ける著者のセンスには脱帽である。
 著者は「英語読本」や「経済読本」を数多く出版している碩学の副島隆彦氏である。どういう経緯で「アポロ計画陰謀論」について言及しようとしたのか動機は定かではない。おそらく覇権国家アメリカに対する反発心が、ゆがんだ形で噴出したのではないだろうか。

 副島氏の主張を簡単に説明するとこうだ。アポロ計画によって月に人類が行ったという歴史的事実はなく、すべてはNASA及びアメリカ合衆国が捏造したフィクションである。ロケットは飛ばしたかも知れないが、中に人は乗っていなかった。宇宙飛行士が月面を歩いている映像は、『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック監督が極秘に撮影したフィルムだというのだ。まるでTVでやっているオカルト番組のノリである。

 ここまで断言するからには、独自の取材で得た確固とした根拠があるのかと期待して読み始めた。しかし、最初の章から誤った科学的知識を振りかざし、支離滅裂な論理を展開している。いくら筆者が文系出身とはいえ、素人同然の疑問提示には閉口するしかなかった。おまけに陰謀論を支持する2ちゃんねらーの書き込みを、ソースとしてコピペしている。読んでいるこちらの頭のネジが飛びそうである。
 本書は2005年に、と学会による「日本トンデモ本大賞」を獲得している。と学会会員の圧倒的な数の得票を得たらしい。これには心から納得した。

 著者は「ギャグ本」として書いたのではないか。本の中盤を読んでいるあたりで、そんな疑念が浮かんできた。いやしくも歴とした評論家である副島氏が執筆しているのだ。製本すること自体がギャグのような内容である。何なんだ、この物体は!
 ひょっとして、これは一種の「釣り本」なのか? 最後のページに「なんちゃって(^ω^*)テヘッ」と書いてあるのではないか、そうであって欲しい・・・・。
 ・・・・読了後に判明したことがあった。そう、副島氏はいわゆるひとつの「マジ」なのだ。オカルト本の飛鳥昭雄氏が愉快犯なら、陰謀史家の副島氏は信念に基づいた確信犯である。

 もしNASAがやらかしたインチキがばれて、知能が高い「常識人」のと学会のメンバー全員が副島氏に土下座するような事態があったりすると、それはそれで楽しいなと思った。いや、わりとマジで。この人の経済予測は、結構当たっていたりするから怖い。

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地球46億年全史

表紙

リチャード・フォーティ『地球46億年全史』(草思社)

■ 地球という惑星の営みを一望できる力作
 三葉虫の研究を専門とする古生物学者リチャード・フォーティ氏の大著で、好評を得た『生命40億年全史』の続編にあたる。いわば「自分の庭」である古代生物史の次に選んだのは、その生命を育んできた地球史そのものであった。生命の進化と地球の気候変動には密接な関係があることを考えると、筆者の選択は自然な成り行きだったのだろう。

 本書のテーマは「目に見えるものが、目に見えないものに支配されている関係を探る」ことにある(本文48ページ)。ここでいう「目に見えるもの」とは、火山であったり断層であったり、地表で我々が観察できるすべてものである。「目に見えないもの」とは、地下数キロの地点にあるプレートの動きだ。
 紆余曲折の議論を経て、統一理論の域にまで到達した「プレートテクトニクス理論」を念頭に置き、世界中の特徴的な地形を持つ場所に出向いて、その地下でうごめいている驚異の力を推察することが最大の狙いである。

 最初の訪問地に選ばれたのは「地質学発祥の地」とされるナポリ湾周辺。小プリニウスが残したベスビオ山の噴火とポンペイ滅亡の記録が、現在の地質学の礎となったからだ。次に活発な火山活動からマグマの動きを知ることができるハワイの島々に飛ぶ。さらに、アルプス山脈、ニューファンドランド島、サンアンドレアス断層、グランドキャニオンと移動していく。饒舌なフォーティ氏とともに、読者は彼の「旅紀行」にお付き合いしよう。筆者の生き生きとした地形表現を熟読すると、あたかも実際に見ているかのように感じるはずだ。
 また、前作での石炭紀の森林の描写からも垣間見られたが、筆者は見ていないものを見てきたかのように語るのが極めて上手い。例えば、第12章「地球深部」で語られる、液体の鉄に物質が溶け込んだコア内部の様子は、まさに迫真の「リポート」である。

 プレートテクトニクス理論の学術的な内容を知りたいのであれば、別の堅い専門書を選んだ方がよいかもしれないが、一般人向けの科学読本をお探しならば、フォーティ氏の「語りの翼」に乗って地球を周回できる本書をお薦めしたい。

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ヤモリの指

表紙

ピーター・フォーブズ『ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー』(早川書房)

■ バイオ・インスピレーションの取り組み
 「バイオ・インスピレーション」とは聞き慣れない言葉だ。生物の特殊能力にヒントを得て、これを科学技術に応用する分野を指す言葉らしい。日本では、同じ意味の新分野を「バイオ・ミメティックス」と呼んだりするが、ミメティックスというと「盲目的に自然を模倣する独創性のない営み」(本文39ページ)というニュアンスが感じられるため、筆者はあえてこの言い方を避けている。バイオ・インスピレーションが目指すところは、ただの模倣にとどまることなく、自然の生物進化が到達し得なかった新しいのものを生み出すことなのだ。
 ナノスケールの微小世界には、まだ人間が手を付けていない広大な領域が残っていると指摘したのは、驚いたことに物理学者のリチャード・ファインマンだった。彼は、まだ高性能の顕微鏡が登場していなかった1950年代に、その先見性でもって未来の人類が進むべき道を示したのだ。

 ヤモリがガラスの壁をいとも簡単に登り、さらには逆さまになった状態で天井を難なく歩けるのはどういう理由なのか、ハスの葉が泥水をすべて弾いてしまうのはどういう性質があるのか、蝶や昆虫が航空力学の常識を超えて実際に飛べるのはどういう仕組みが働いているのか。本書では、ファインマンの提言から半世紀が経過した今日のナノ領域の研究の成果と、それらを応用した様々なハイテク技術を紹介する。

 「バイオ・インスピレーションが初めて真の意味で商業的に応用されたのは、ロータス‐エフェクトを使った塗料が建物の外壁の塗装に使用されたときだ。それに続いてピルキントン社の自浄作用を持つアクティブ・ガラスが発売された。」(本文53ページ)
 1999年に塗料メーカーのイスポが、建築物の外装用塗料「ロータサン」を発売した。これはハスの自浄作用を応用したものだ。「ヤモリテープ」は、ヤモリの足に生えた微細な枝毛を元に作られている(なんとヤモリは死んだ状態でも垂直な壁にくっつくという)。ほかにも、強靱なクモの糸を人工的に作り出そうとする試みや、シェル構造を用いたオーガニック建築の例など、様々な応用分野に広がるバイオ・インスピレーション技術の現在を知ることができる。筆者の自然に対する真摯な眼差しは、読者に対して自然科学の驚異と共に、将来の明るいメッセージを届けるだろう。

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