
・機種 | ゲームキューブ |
・メーカー | 任天堂 |
・ジャンル | アドベンチャー |
・発売日 | 2002年12月13日 |
・価格 | 6,800円 |
■ 触れるアニメ トゥーンレンダ-リンク 『ゼルダの伝説 風のタクト』(GC)は、携帯ゲーム機で発売された作品を除くとシリーズ第6作目、ゲームキューブ用に開発されたソフトです。本作は「トゥーン・レンダリング」という技法を用いたアニメーションタッチのグラフィックを特徴としています。主人公はいわゆる“猫目”をした子供のリンク。
アニメ的な表現は、デフォルメされた登場人物のデザインだけではなく、炎や煙のようなエフェクトにまで適用しています。プレイヤーがアニメの世界に干渉できる「触れる(さわれる)アニメ」を追求した異色のシリーズ作品です。
2001年に『風のタクト』の詳細が発表されたときは、「えっ? 新作はこういう形になるの?」と世界中のゼルダファンが驚きました。2000年のゲームキューブ発表時に公開された
デモ映像から180度方針を転換していたことがその理由です。
映像をリアルにするだけでは良い作品は生まれないと考えていた任天堂の開発スタッフ。新作をどう作るか模索の日々が続いていた中、一枚のデザイン画が目に止まります。それがあの猫目リンクでした。それから一気に『風のタクト』の方向性が決定したそうです。
否定的な意見を言う人もいますが、私は『風のタクト』の可愛らしいキャラクターデザインは好きです。最初の島(プロロ島)で鼻水を垂らした子供が近寄ってきたときは、「こやつめ、ハハハ」と笑いました。
アクションの操作性は、シンプルな操作で複雑な動きを可能にする補正機能が充実していると言えます。ボタン一つで流れるような連続攻撃やカウンター攻撃が発動します。Z注目システム(本作ではL注目)、オートジャンプシステムといった“発明”を『時のオカリナ』(N64)から継承していて、ストレスを感じることなく3D空間を満喫できます。
ただ、カメラワークに関しては、上下・左右ともにリバース方式で固定していることに疑問を持ちました。設定でノーマル方式に切り替えられないんですよ。ノーマル方式を採用している一人称視点のFPS系ゲームに慣れている人だと、最初の2~3時間は違和感を抱くかもしれません。
リバース方式はキャラクターの視点を動かしているのではなく、キャラクターを撮影しているカメラを動かしていると考えれば理解しやすいと思います。たとえば、リンクの左側を見たいときは、背後のカメラをリンクの右側に回りこませる感覚です。
Wii UのHD版『風のタクト』はノーマル方式に切り替えられるそうですが、上下・左右を同時にノーマル方式にすることはできないとのこと。う~ん、これは謎仕様としか・・・・・・
■ 前半は神ゲー。だけど後半は・・・ シナリオの序盤で、主人公のリンクは人語を操る小さな帆船「赤獅子の王」と出会います。赤獅子の王の動力は「風」であり、風のタクトを振って八方向に風向きを変更しながら大海原を移動する仕組みになっています。
海は7×7=49マスの海域で構成され、1マスの海域に1つずつ小島が点在しています。小島が等間隔に49マスの海域に並んでいるというのは、あまりにもゲーム的です。個人的には大小様々な島が自然な形で分布しているマップの方が良かったですね。プレイ中は「せめて拠点となる大きな島が1つあれば・・・・・・」と残念に思いました。
多くのユーザーが指摘していますが、『風のタクト』に対する評価を1ランク下げてしまったもの、それはシナリオ後半の“尻すぼみ感”です。作り込みより納期を優先したため、終盤のダンジョン2つが丸々カットされてしまいました。ダンジョンを攻略して勇気のトライフォースを入手するイベントが、合計8個ある「トライフォースのかけら」集めに変更されたのです。
「さぁ、残りはラストダンジョン!」という段階で手間のかかるサルベージ作業を強いられ、興を削がれたプレイヤーが多かったと聞いています。任天堂のホームページ
「社長が訊く」のコーナーで、岩田社長自ら不出来を認めていますけど、これはOKなのでしょうか?w
HD版『風のタクト』が発表されたときは、「削除されたダンジョンの復活なるか!?」と期待されていました。しかし発売された商品は、細かな仕様が改善されたのみで、大幅なリメイク要素は無し。これでは完全版に生まれ変わるチャンスをフイにしたと感じるファンがいてもやむを得ませんな。
もしダンジョンを追加して本格的にリメイクした場合、2~3年の開発期間が必要になるので無理、と判断したみたいですね。まぁ、HD版『風のタクト』はWii Uのソフト不足を少しでも解消するために出したソフトですから・・・・・・
なお、本作でトライフォースが「タライとホース」と呼ばれているのは、冒険のヒントをくれる「魚男」のセリフが由来です。プロロ島の近くの海で、トライフォースをタライとホースと聞き間違えていた、と話すのです。
ちなみに、英語版では、タライとホースは"Triumph Forks"(勝利のフォーク)と翻訳されています。"Triforce" (トライフォース)と発音が似ていますかね?
