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これからの「正義」の話をしよう

表紙

マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(早川書房)

■ 正義とは何かを問いかける入門的思想書
 政治哲学者マイケル・サンデルが著した世界的ベストセラー『Justice: What's the Right Thing to Do?』の翻訳書。ハーバード大学の人気講義の内容を書籍化したものである。私は番組を見ていないが、講義の模様は2010年に『ハーバード白熱教室』(全12回)というタイトルで、NHK教育テレビにて放送された。受講者との対話をそのまま収録した『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』も上下巻刊行されている。

 本書の前半では、ベンサムの功利主義、ノージックのリバタリアニズム(自由至上主義)、ロールズのリベラリズム(自由主義)、などの考え方とその問題点を指摘し、後半では、サンデル自身が拠り所とするアリストテレス的なコミュニタリアニズムの立場から、「善」とは何か、「正義」とは何かを導き出していく。古代のアリストテレスが最後に登場するのは、議論の流れを考慮してのことである。

 どちらを選ぶべきか逡巡する「道徳的ジレンマ」を例示して、受講者と対話をしながら異なる意見を対立させる。そうした上で、過去の道徳哲学の特徴と弱点を浮かび上がらせるサンデルの手法は面白い。実際にあった事件や出来事を積極的に話題にしており、人々の興味を引きやすい。講義が一般公開されるほど人気があるのは、こうしたエンターテインメント的な要素が大きな理由だろう。

 西洋哲学で長きにわたって議論され続けてきた「道徳」の問題に明快な答えを出すのは難しい。何が正しい行いで、何が悪い行いなのか、現実の問題では結果が出てみないと行為の善し悪しを判断できない場合が多いからである。
 ひとつの共同体のなかで育まれた「善」や「正義」の観念を道徳の根拠とするコミュニタリアニズムは、日本においては割と共感を得やすい思想だと思うが、正義の定義が曖昧になる点や、全体主義へ転化する危険性をはらんでいる点で問題がないわけではない。サンデル氏が本書でそうした理論的欠点を克服しているのか、疑問の余地がある。

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