
・機種 | ニンテンドースイッチ |
・メーカー | プチデポット |
・ジャンル | アドベンチャー |
・発売日 | 2020年12月17日 |
・価格 | 4,800円 |
■ ソロで楽しむ「人狼ゲーム」 コンピューターの人狼ゲームをやってみたいけど、『Among Us』のようなオンライン対戦ゲームは気を遣うし抵抗がある、海外のマジキチいかれポンチとは絡みたくない、ゲームをプレイする時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ、独りで静かで豊かで……、そんな考えのあなたにオススメなのが、人狼系アドベンチャーゲームの『グノーシア』。元はPS Vitaで発売されたソフトで、それに様々な改良を加えたバージョンがニンテンドースイッチで楽しめます。
ダウンロード版のお値段は2,750円とお手頃。以前からちょっと気になっていた作品だったので、セール時に20%オフの2,200円で購入。これが個人的に大当たりのゲームでした。
プレイ前は「コンピューターのキャラクターたち(NPC)と議論して人狼をあぶり出すとか、そんな高度な駆け引きができるのか?」と疑念を持っていました。しかしプレイ後は「人狼ゲームをテキストアドベンチャーゲームに上手いこと落とし込んだなー」と感心しきり。
まあ、ひとり焼肉、ひとりカラオケ、ひとりスイーツバイキング、ひとり東京ディズニーランド、ひとり新婚旅行が可能な現代社会において、ひとり人狼ゲームがあってもおかしくはないでしょう。最近はソロキャンプとかも流行っていますからね。
ゲームの舞台は、とある宇宙船内。船内の人間に成りすました未知の生命体「グノーシア」を議論によって特定し、コールドスリープによって排除していくゲームです。プレイヤーの主人公は記憶喪失に陥っていて、最初は自分が誰なのかも分かりません。
このゲームには「ループもの」の要素があり、1回のゲームが終わると、また最初の日に戻されます。誰がグノーシアなのか、誰が人間でどんな役割であるのかは、ループごとに設定が変更されます。
1日は5ターン制になっていて、5ターンの議論を経た後、誰がグノーシアなのか投票で結論を出します。得票数が最も多かった人物はコールドスリープで凍結されます。
1日が終わると乗員たちは就寝します。その際、まだ船内にグノーシアが残っていると、人間の誰か1人が襲われて殺されます。
議論→投票というプロセスを繰り返して、すべてのグノーシア(1人から複数人まで、グノーシアの数は毎回変動する)をコールドスリープさせれば人間側の勝利。人間の数が減っていき、乗員の半分以上がグノーシアになってしまうとグノーシア側の勝利となります。
魅力的なキャラクターデザインと、プレイヤーの緊張感を高めてくれる良質なBGMがGOOD。こんな良作を今まで見過ごしていたとは不覚でござった。
■ ときには厳しく、ときには優しく 本作は、『Among Us』のように船内作業をしながら怪しい奴を見つけるというゲームではないです。1日が始まると、いきなり「こいつは胡散臭い」、「あの人は信用できない」と乗員間で激しいやりとりが始まります。そんなことを急に言われましても、プレイヤーはNPCの主張が正しいのか判断できませんよね。
そこでまず、NPCに自分の役割を表明させてみましょう。グノーシアは人間側のエンジニア(1日が終わると、指定した人物がグノーシアなのか識別することができる)やドクター(1日が終わると、コールドスリープさせた人物がグノーシアなのか判別することができる)に成りすます場合があり、会話からウソを言っているグノーシアを推測できます。
たとえば、エンジニアは2人いる設定なのに、3人がエンジニアとして名乗り出た場合、3人のうち誰か1人がグノーシアである可能性があります。
ゲームの設定によってはAC主義者(グノーシアに味方する人間)やバグ(人間でもグノーシアでもない異物)が混じっている場合もあるので、100%確実な識別方法ではないですが、ゲーム序盤ではグノーシア候補を絞り込める有効的な手段となります。
ループを繰り返して主人公のレベル・能力値を上げ、新しいスキルを獲得していくと、NPCを論破・説得しやすくなり、NPCから狙われにくくなります。また、グノーシアのウソを直感で見破る確率が上がります。
Steam版『グノーシア』のレビューに、「ロジックではなくスキルで論破するゲーム」という表現がありましたが、まさにその通り。最初、NPCの発言に右往左往していた主人公が、能力の上昇によって別人のように変貌していきます。
ループものというゲームの性質上、どうしても単調さを感じてしまう部分はあるのですが、主人公の成長という要素を取り入れることで、プレイヤーを飽きさせない工夫がなされています。
ゲームを進めていくと出現する条件戦(ある特定の人物を先に排除して、主人公とパートナーが生き残ったまま、すべてのグノーシアを排除する、など)がシビアで面白かったですね。NPCのグノーシアは狡猾で、味方であるはずの他のグノーシアを疑って、こちらの推理を攪乱したりします。ゲームに負けて「お前がグノーシアやったんかい!」と驚いたことが2、3回ありましたよ。
最後にエンディングを見るためのアドバイスを少し書いておきます。NPCに対しては疑う・攻撃するだけではなく、擁護・弁護することも必要です。NPCを擁護・弁護することで発生するイベントもあります。NPCの情報を得られるイベントをすべて発生させることがエンディング到達の条件です。「攻撃一辺倒ではダメ」ということを心に刻んでおくといいでしょう。
